北海道歯学雑誌 = Hokkaido Journal of Dental Science;第33巻 第2号

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液状食飼育がラット口蓋腺に与える影響に関する組織学的および免疫組織化学的研究

弓削, 文彦;高橋, 茂;土門, 卓文;大畑, 昇

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/52454
KEYWORDS : 液状食飼育;口蓋腺;組織計量;免疫組織化学

Abstract

現代人の食習慣では柔らかい食品が好んで摂取される傾向がある.このような食習慣が口腔諸組織にどのような影響を与えるかを明らかにするため,実験的研究が行われてきた.液状食飼育されたラット耳下腺に関しては腺の萎縮,腺房細胞の縮小,細胞増殖活性の低下,アポトーシスの増加などが報告されている.一方,大唾液腺とは異なり,小唾液腺に関する報告は見られない.本研究では代表的な小唾液腺である口蓋腺が液状食飼育によりどのような影響を受けるのかを組織学的,免疫組織化学的に検索した.実験には7週齢のWistar系雄性ラットを使用した.対照群には固形食,実験群には液状食を1週~8週間与えた.飼育期間を終了した動物には5-bromo-2’-deoxyuridine(BrdU)を腹腔内投与し,4%パラホルムアルデヒド灌流固定後口蓋腺を含む上顎を摘出した.10% EDTAにて脱灰し,正中面にて切り出した試料をパラフィン包埋し,正中面から側方に向かって連続薄切した.切片にはヘマトキシリン-エオジン染色(HE),過ヨウ素酸シッフ染色(PAS),アルシアンブルー染色(AB)を行うとともに,口蓋腺の高径,長径,幅径を計測した.腺房細胞の増殖活性を調べるためにBrdU免疫染色,アポトーシスの検索ためにCaspase-3免疫染色を行った.対照群の口蓋腺は殆どが粘液性腺房からなり,細胞質はPAS,ABに陽性を示す粘液様物質で満たされていた.実験群でも同様の組織像で,腺房細胞の収縮やPASおよびABに対する染色強度の差異は観察されなかった.また口蓋腺の高径,長径,幅径は各週において両群間に差はなかった.BrdU陽性腺房細胞はいずれの標本においても観察されたが,各週の両群間には陽性細胞数の有意差は認められなかった.Caspase-3陽性細胞は両群共にどの週においても極めて少なかった.以上の結果より,ラット口蓋腺は液状食飼育の影響を受けず萎縮性変化を示さないことが明らかになった.

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