Permalink : http://hdl.handle.net/2115/54576

KEYWORDS : 循環資源貿易;石炭灰;日本;韓国;セメント産業

2002年12月，日本から韓国へ石炭火力発電所から発生する石炭灰の輸出が始まった。輸出された石炭灰は，セメント産業で利用されている。その後，徐々に輸出量は拡大し，2012年には，120万トンにも達している。本稿では，この石炭灰貿易が拡大してきた日本側や韓国側の要因，両国の貿易規制との関係を分析するとともに，石炭灰貿易が韓国における石炭灰の処理状況にどのように関わっているのかを考察している。近年，韓国の一部地域では，石炭灰の埋立率が増加しており，日本からの石炭灰の輸入拡大がこれに影響を与えていると考えられる。このような状況は，違法とはいえないものの，あまり望ましい事態ともいえない。一方，地球規模の観点から見ると，中東地域では東アジア地域とは異なり，石炭灰の供給が不足している。東アジア地域からの過剰な石炭灰を中東地域での有効利用など，より広域での石炭灰の有効利用を模索する必要性がある。