北方森林保全技術 = Technical report for boreal forest conservation of the Hokkaido University Forests;第25号

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和歌山研究林の公開事業に関する取り組み

芦谷, 大太郎;大西, 一弘;前田, 純;和田, 信一;土井, 一夫;久保田, 省悟;前田, 昌作;桝本, 浩志;野田, 真人

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73099

Abstract

近年、森林の楽しみかたに多様性を求める人たちが増え、和歌山研究林(以下、研究林)においても、来林者に森林散策や体験型の実習などで対応している。研究林の森林フィールドは、和歌山県南東部の古座川の支流・平井川の源流部に位置する(図-1)。古座川の本流は、古座川町最高峰の大塔山(1,122m)に源を発し、町の中央を流れて熊野灘に注ぐ。古座川町は、和歌山県全面積の約6%にあたる294.52k㎡であり、人口は約3,400人である。町面積の96%が森林で、良質な古座川材の名で知られ、オオサンショウウオの生息する平井川(写真-1)、日本桜100選にも選ばれている佐田の桜(写真-2)、国の天然記念物に指定されている一枚岩(写真-3)、名勝地である滝ノ拝(写真-4)など豊かな自然が多く残されている流域である。さらに周辺地域が世界遺産「紀伊山地と霊場と参詣道」や串本町沿岸域がラムサール湿地条約に登録された機会に、地域の活性化へ結びつけようとする様々な企画が進行している。このような背景もあり、“清流”古座川が度々マスコミに取り上げられ、その源流部に位置する研究林にも関心が高まり、利用者の増加に結びついてきたものと思われる。一方、利用者の増加と共に、受け入れ側の当林としては、担当職員の休日出勤など新たな問題が生じてきた。現在、その緩和策として、研究林の案内をサポートする「森林ガイド」を組織化して対応している。本報告では、①森林ガイド養成講習を中心に経過から現況について紹介し、森林ガイドの方々に協力していただいて実行してきた②自然が教科書塾「森から学ぶ理科」③自然体験学習「熊楠塾チャレンジ」などの概要を簡単に触れ、これら3事例の中から得られた問題点と課題について述べる。

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