Permalink : http://hdl.handle.net/2115/80164

KEYWORDS : 会計職業倫理;会計倫理;公認会計士;保証;アカデミー賞

本稿は，会計プロフェッショナリズム，とりわけその原点としての職業倫理に公認会計士による業務領域の拡大が与える影響を，第89回アカデミー賞事件を題材に検討するものである。検討の結果，アカデミー賞事件は，公認会計士に特徴的な独立性に関係する倫理の欠如というよりも，より一般的な倫理の欠如によって引き起こされ，その背景には，会計事務所の不十分な品質管理体制があったことが明らかにされる。公認会計士が担う業務の多様性がますます拡がりつつある今日，会計事務所は，より一般的な倫理保持の重要性を再認識した上で，各業務の個別特殊的な背景要因を考慮した品質管理体制を整備しなければならない。それを欠いた状態での業務領域の拡大は，その原動力であるはずの会計職業倫理を自ら毀損することに繋がるであろう。