經濟學研究 = The economic studies;第70巻第2号

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日韓比較からみる男性の育児休業取得状況 : パパ・クオータ導入を中心に

金, 仁子

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/80165
KEYWORDS : パパ・クオータ;パパ・ママ育休プラス;パパの月;育児休業;ジェンダー平等

Abstract

男性の育児休業取得は,私的領域を形作る生活時間の獲得だけでなく,私的領域の非貨幣的生産労働と公的領域の貨幣的生産労働とにおける役割分担のジェンダー不均衡を是正するという重要な意味合いを持つ。近年、真のワーク・ライフ・バランスの実現にむけた取り組みとして男性の育児休業取得に関心が高まっている所以である。 本稿の目的は,日韓両国におけるパパ・クオータ制の導入と男性の育児休業利用実態を比較分析し、それぞれの政策デザインが男性の育児休業取得にどのような影響を与えてきたのかを検討することで、今後の政策課題を確認することにある。 比較分析の結果を踏まえると、男性の育児休業取得率をあげるためには,パパ・クオータ制の実効性をより高める制度設計が求められる。日本の男性の育児休業取得者の7割以上が2週間未満でしか育児休業を取得していない実態からすると,分割ボーナスで男性の育児休業の取得可能な期間を拡大するパパ・ママ育休プラスは,実効性のある施策とは言い難い。単に男性の育児休業の取得可能な期間を拡大するよりは,実質的な取得期間の拡大や育児休業を取得可能な対象労働者の範囲の拡大,パパ・クオータ制が適用される期間に対する育児休業給付金の現実化を図るなど,より積極的な措置を施す必要がある。

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