研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第20号

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新漢語「発展」の成立と中国語への受容

畢, 亜莉

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/80792
JaLCDOI : 10.14943/rjgshhs.20.l135

Abstract

「発展」という言葉は日中同形語であり,「社会発展」「経済発展」「歴史発展」のように現代日本語と中国語で日常的に使われている。しかし,「発展」が日本人の造語であるか中国人の造語であるか,日中の間でどのように交流があったかに関する論考はまだ見当たらない。本稿は近代における日中両方の辞書類とコーパスを通して調査し,その辞書記述と当時の使用実態を明らかにした。結果として,「発展」は「日本語借形語」である。つまり,「発展」は明治初期に日本人によって創られ,明治期の雑誌や新聞,英和辞書を通して,中国に輸入された。そして,1912年に中華民国の成立に伴い,国家のインフラ整備を整える必要のため,「発展」もこの時期に頻繁に使われるようになった。社会情勢が,「発展」の中国での定着に大きな影響を与えたと考えられる。

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