研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第23号

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撮影舞台を展示する : 『「深」動物撮影関係論 : 写真家髙橋忠照と出会った動物たち』を事例に

中村, 香音

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/91086
JaLCDOI : 10.14943/rjgshhs.23.l81

Abstract

本論文は,北海道大学文学部・文学院・文学研究院の「書香の森」における企画展示『「深」動物撮影関係論~写真家髙橋忠照と出会った動物たち~』(2022年10月28日~2023年1月20日)の内容を記述しつつ,展示実現までのプロセスを記述したものである。また,「協働(collaboration)」による展示制作の可能性を踏まえながら,野生動物の写真撮影の舞台裏を展示することの意義を考察したものである。この展示は,筆者が修士課程2年次で企画したものであり,自然写真家・髙橋忠照氏による北海道の野生動物の写真5点と,髙橋氏がフィールドで実際に使用している撮影機材及び周辺道具を展示した。髙橋氏は自衛隊所属時に培ったスナイパーの技能を生かし,「潜入」「トラッキング」「ストーキング」などの接近術を駆使した撮影を行っている。この展示会では,髙橋氏と企画に参加した学生との協働によって展示を制作したことで,多角的な視点から野生動物の写真とその撮影方法について掘り下げることが可能となった。撮影舞台を展示することは,撮影者が体験するリアルな現場を様々な立場の他者に伝え,野生動物の撮影について共に考えるための装置になり得ると考えた。

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