北海道大学大学院教育学研究院紀要 = Bulletin of Faculty of Education, Hokkaido University;第107号

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貧困世界におけるボクシングセンスの社会的構成 : opus operatumからmodus operandiへ

石岡, 丈昇

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/38708
JaLCDOI : 10.14943/b.edu.107.71
KEYWORDS : リフレクシヴ・ソシオロジー;ボクシングセンス;貧困世界

Abstract

本稿は,P. ブルデューとL. ヴァカンのリフレクシヴ・ソシオロジーの方法に倣い,フィリピン・マニラ首都圏のジムに暮らすボクサーたちのボクシングセンスを再構成する試みである。ヴァカンが言うように,社会学は生身の身体を具象な水準で論じてこなかった。よって,身体の社会学を構想する必要性が90年代以降社会学界で叫ばれながらも,そこで対象として扱われるものは,<血と汗のにおい>を内包した私たちにとってタンジブルな位相にあるそれからは飛翔した身体言説の分析が支配的であった。ブルデューとヴァカンと共に,社会的行為者が特定のフィールドと親和性を持つ固有の道徳的倫理的図式のセット-本稿でボクシングセンスと呼ぶもの-を受肉化するプロセスを「客観化の技法を客観化しつつ」記述すること,さらにそこから理論化の構えを提示することが,本稿の目的である。

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