北海道歯学雑誌;第31巻 第2号

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北海道大学病院歯科診療センターにおけるRapid Prototyping Techniqueにより作製した顎顔面模型の臨床応用

大井, 一浩;上田, 康夫;黒須, 拓郎;松下, 和裕;小野, 貢伸;山口, 博雄;高野, 昌士;北田, 秀昭;榊原, 典幸;西川, 圭吾;大畑, 昇;井上, 農夫男;戸塚, 靖則

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/45816
KEYWORDS : rapid prototyping technique;顎顔面模型;手術シミュレーション

Abstract

北海道大学病院歯科診療センターでは,2001年からRapid Prototyping Techniqueによる粉末凝結式積層造型装置を導入し,この装置により作製した顎顔面模型(以下RP顎顔面模型)を用いて手術シミュレーションを行なっている.そこでわれわれは,当院におけるRP顎顔面模型の臨床応用の実績と概要を報告する.対象は2001年1月から2009年1月までに北海道大学病院歯科診療センターでRP顎顔面模型を用いて手術シミュレーションなどを行った症例とした.症例の顎顔面をCT撮影し,骨データを抽出して金属アーチファクトを除いたデータを取得した.これらのデータを三次元画像表示解析ソフトウェアで三次元構築処理し,積層造形装置Z402で症例のRP顎顔面模型を作製した.8年間でRP顎顔面模型を使用した症例は139例であった.その内訳は,顎矯正手術93例,顎堤形成術・骨移植術22例,悪性腫瘍切除術・顎骨再建術15例,口蓋形成術4例,インプラント埋入手術3例,エピテーゼ2例であった. 症例1:小下顎症と顔面非対称の顎矯正手術において,RP顎顔面模型を骨切りし,上下顎骨形成術をシミュレーションして手術を行なった. 症例2:骨格性右側方開咬の顎矯正手術において,RP顎顔面模型を骨切りし,移動骨片の異動量・方向,骨延長装置を決定し,骨延長法をシミュレーションして手術を行なった. 症例3:右下顎歯内癌の腫瘍切除術と顎再建術においてRP顎顔面模型を用いて下顎骨区域切除と再建をシミュレーションして手術を行なった. 症例4:耳介エピテーゼの製作に際し,RP顎顔面模型によりエピテーゼの原型を作製した.これらのRP顎顔面模型の臨床応用は,治療計画の困難な症例において,精度と安全性を高めるうえで有用であった.

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