科学技術コミュニケーション = Japanese Journal of Science Communication;23号

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裁判劇を用いた科学イベントが参加者に与えた効果 : 「私の仕事を決めるのは誰?-裁判劇を通じて人工知能を用いた人事評価の是非を考える-」を題材に

安孫子, 友祐;児玉, 葵;近藤, あずさ;古澤, 正三;栗原, 莉奈;藤井, 真知子;増田, 至;片島, 幹太;越谷, 由紀;古澤, 輝由;種村, 剛

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/71118
JaLCDOI : 10.14943/85366
KEYWORDS : 演劇;法廷裁判;対話;ワークショップ;合意形成;人工知能;人事評価;トランス サイエンス問題

Abstract

本稿の目的は,科学イベント「私の仕事を決めるのは誰?~裁判劇を通じて人工知能を用いた人事評価の是非を考える~」が参加者に対してどのような効果を与えたのかを明らかにすることである.これらの効果を明らかにすることで,一般市民を対象とする「対話の場」を創る際に有益となる知見を示すことを意図した.本イベントは,参加者が陪審員という設定で裁判劇を観劇し,その直後に行う評議ワークショップにおいて,劇中における原告の訴えに対する判決を下すという内容である.イベントの参加者が選択した判決内容によって,裁判劇(判決編)が変化する.本稿では,本イベントが参加者に対して与えた効果を確認するため,回収したアンケート,評議ワークショップの討論内容をそれぞれデータとして分析した.その結果,裁判劇に関しては,争点が明確で分かり易くかつ複数視点によって描かれたことや,リアリティのある主張が内容理解を促進させていることがわかった.評議ワークショップに関しては,ワークショップでの合意形成プロセスの体験を通じて他者の意見を知り,妥当性を吟味したことが異なる視点の獲得に結びついたことがうかがえた.

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