メディア・コミュニケーション研究 = Media and Communication Studies;72

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L’évolution de l’artisanat aïnou en art primitif moderne : transferts et appropriations culturelles (2ème partie, suite et fin)

Clercq, Lucien

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/73285
KEYWORDS : Aïnous;Appropriation culturelle;Art primitif;Fujito Takeki;Hybridation culturelle;Sunazawa Bikky;アイヌ;文化の適応;先住民芸術;藤戸竹喜;文化のハイブリディティ;砂沢ビッキ

Abstract

アイヌの手工業品は、大量生産された味気のない観光用の品とみなされ、芸術的な意図を持たずに利益の追求のみを目指したものとして長いこと非難の対象となってきた。しかし、こうした先入観は、ポストコロニアルの社会を生き延びるために、アイヌの職人たちが新たな実践について折衝したり、それを取り入れたりするために練り上げてきた適応の過程を覆い隠してしまうものである。アイヌの職人たちは、さまざまな実践を通じて、本物/偽物という二項対立のシステムには依拠しない、中間的な方法を練り上げてきたのである。彼らは異文化との出会いに際してただただ受け身でいたわけではなく、伝統的な文化を守りながらも日本人の美的趣味に適うような選択を積極的に行ってきたのである。彼らは自身に課せられる強制の数々を、むしろ自分に都合のいいものへと変えたのであり、率先して注文に応じる一方で、彼ら自身のアイデンティティと結びついた価値観を、例えば熊の彫り物などを通じて表明したのである。つまり彼らは、日本人が押し付けてくるステレオタイプ的な見方を取り込み、さらにそれをひっくり返すことで、そうした偏見を、アイヌのアニミズム的な伝統を高らかに表明するものへと変えてしまったのである。こうした手工業品は、一連の制作を通じて次第に体系化されていき、ついには現代的な先住民芸術を生み出すことになる。砂沢ビッキ(1931-1989)や藤戸竹喜(1934-2018)を筆頭に、才能溢れる職人たちはアイヌの手工業に関する名声を高める一方で、民族全体に行きわたった社会文化的な変動に対して戦闘的態度をとるアイヌを鼓舞する存在ともなったのである。

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