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Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers > 平成20年8月11日,本コレクションの収録文献数が25,000編に達しました。 理学部地球科学科4年生(論文投稿当時)森下遊さん(写真左)、理学研究院自然史科学部門地球惑星ダイナミクス分野日置幸介教授(同右) 学部四年で行った研究がこのような論文になるとは研究開始時は思ってもみませんでした。日置先生や研究室の先輩など多くの方々の指導のおかげで研究を進めることができました。お世話になった皆様にとても感謝しています。一年間の研究の成果がこのように形になって、とてもうれしく思います。 日置教授から Q. 今回の文献はどういった内容のものですか。 エルニーニョは本来ペルー沖の海水温度が上昇する現象ですが,世界中に様々な形で気候の変動をもたらします。この研究では,アフリカや南米大陸でエルニーニョに伴って降雨量に異常が生じることを,気象データではなく人工衛星で重力の変化として測ったところがユニークな点です。大陸に降った雨は土壌中に一定期間貯蔵されますので,その引力によって重力がわずかに変わるのです(『リテラ・ポプリ』34号に解説「日置幸介の研究 : 重力で見る変化する地球」あり)。 Q. どうしてこの研究をはじめたのですか。 2002年に重力の時間変化を測るGRACE と呼ばれる衛星が打ち上げられたのですが,東アフリカに強い(といっても毎年10億分の1減る程度)重力の減少が見られました。最初は地球内部に原因を探していたのですが,たまたまエルニーニョで降雨異常が出易い地域であることを知って,本格的に研究を進めました。研究の推進役は,今年国土地理院に就職した当時学部四年の森下君です。昨年12月に投稿したのですが,掲載まで半年かかってしまいました。卒業研究がインパクトファクターの高い専門誌に論文として出ることはそう多くありません。 Q. 今後の研究活動について教えてください。 重力の時間変化という新しい観測量を人類が手にして6年になり,重力を使った地球の研究はますます面白くなってきています。今は別の学生さんと,隆起を続ける(岩石の質量が増えている)チベット高原でなぜ重力が減り続けているか,という謎を温暖化に伴う氷河の融解で解こうと頑張っています。 Q. HUSCAPに掲載されたあなたの論文をどのような方々に読んでほしいですか。 雑誌購読料の高騰で読みたい雑誌を自由に閲覧できない環境の研究者の方に読んでもらいたいと思っています。 森下遊(北海道出身,北海道大学理学部を平成20年3月に卒業,国土交通省国土地理院測地部勤務) 日置幸介(高知県生まれの北海道/関西育ち,東京大学理学部卒業,郵政省,国立天文台等を経て北海道大学理学研究院教授) 専門は地球惑星物理学 附属図書館では,今後とも本学所属研究者の研究成果・教育資料の公開に,より一層努めて参ります。ご著作をより多くの人々へ届けるため,論文等の研究成果のHUSCAPへの寄贈をお願いします。
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