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WC-Ni超硬合金の溶接残留応力に関する研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.r6430

Title: WC-Ni超硬合金の溶接残留応力に関する研究
Authors: 落合, 宏 Browse this author
Keywords: 超硬合金
溶接
Ⅹ線
残留応力
固有ひずみ
Issue Date: 24-Mar-2006
Publisher: Hokkaido University
Abstract: WCは代表的な超硬合金である.WC粉末の結合金属としてコバルト CoやニッケルNi粉末を添加し焼結すると,硬度とともに強度にも優れたWC超硬合金が得られる.焼結した超硬合金チップの応用例として最初は切削工具であった.焼結方法の改良とともに,形状も小型ではあるが種々の形状の超硬合金ができるようになり,ダイスやロールなどの耐磨耗工具に応用されるようになった.広い摺動面に採用する場合には,多数の超硬合金チップを摺動面に接合する必要がある.接合には,ろう付けが一般的であるが,強度の面では溶接のほうが当然優れている.しかし,結合金属割合の低い超硬合金チップを鋼の部材に直接溶接すると,溶接割れが生じてしまう.超硬合金の溶接性を向上させるには,適切な割合の結合金属を選定しなければならない.しかし,この方法では超硬合金の硬度を低下させる恐れがある.そこで,作動表面は高硬度かつ高強度,接合部は溶接性が優れた性能を有する傾斜組成材料を開発することが期待される.このような場合でも,超硬合金を溶接すると熱物性の違いによる熱応力が発生し,溶接割れの生じる危険性がある.溶接後完全に冷却されたときに存在する応力分布が残留応力であり,残留応力を測定すると,溶接熱応力を推定することができる.溶接残留応力測定は,溶接割れの対策に結びつく重要な測定方法である.結合金属割合と残留応力の関係を明らかにすることが,傾斜組成超硬合金開発のために不可欠である.また,超硬合金の結合金属としては,Coが代表的に用いられてきたが,特に非磁性体や耐食性が要求される場合にはNiを使うことも多い.近年経済的理由からCoより安価なNiが注目されている.しかし, WC-Ni超硬合金に関する報告は非常に少ない.以上のことから本論文では,溶接割れを残留応力の観点から捉え,WC-Ni超硬合金の結合金属割合を種々に増加させて溶接実験および残留応力測定を行い,併せてその実験のシミュレーション解析手法を検討する.この結果から結合金属割合と残留応力の大きさとの関係を把握し,超硬合金の溶接性を論ずるとともに,今後の傾斜組成超硬合金の設計指針を整理する.溶接残留応力の測定には非破壊測定方法として最も一般的なX線を用いる.しかし,超硬合金のX線溶接残留応力測定には解決されていない問題がある.溶接部は溶接熱の影響を受け,材料が非均質となっているので,X線応力測定が困難または測定精度の低下が考えられる.最も溶接割れに重要なのが溶接部の残留応力値であり,この領域の応力値の精度が低いままでは,測定そのものの意義が問われることとなる.そのため,従来の測定法に対して,二つの改良案を提唱し,残留応力測定に対する有効性を論ずる.最初に,固有ひずみ法を用いてX線残留応力分布を求める.固有ひずみとは溶接時によって生じた溶接部の塑性ひずみである.溶接部の固有ひずみの大きさが決定できると系全体の残留応力分布が求められる.Ⅹ線測定と組合わせた固有ひずみ法を用いると,溶接部の残留応力分布の信頼性が向上する.改良点のもうひとつは,測定点の応力値を,その点に関するすべてのX線回折角ピーク値を用いて応力値を決定する,多軸ひずみ測定法を新たに開発したことである.従来の方法では測定不可能と判断されるような場合にも,有効な残留応力値が決定できる方法である. X線残留応力測定の改良とともに,残留応力解析にも新たに工夫を加えた.ほとんど報告されたデータがないWC-Niの材料定数を100%WCおよび100%Niの材料定数から補間するモデルおよび計算式を示した.以上の実験および解析結果からWC-Niの溶接残留応力に関するデータが得られ,溶接可能な条件を得ることができた.
Description: 平成18年3月授与
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 乙第6430号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 工学
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/14706
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Submitter: 落合 宏

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