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Establishment and Pathology of a Murine Model of Influenza Virus-Associated Encephalopathy

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://doi.org/10.14943/doctoral.k9486

Title: Establishment and Pathology of a Murine Model of Influenza Virus-Associated Encephalopathy
Other Titles: インフルエンザ脳症マウスモデルの確立と病態解析
Authors: Tanaka, Tomohisa1 Browse this author
Authors(alt): 田中, 智久1
Issue Date: 25-Mar-2010
Abstract: インフルエンザ脳症 (IAE) はインフルエンザウイルス感染に伴う致死的な中枢神経疾患の一つである。本邦では毎年100例前後の患者がみられ、5歳以下の幼児での発生が全体の約8割を占めている。死亡率は約30%と高く、神経学的後遺症が遺残することも多いため、効果的な治療・予防法の確立が急務である。本疾患の特徴的な臨床所見はインフルエンザによる発熱の直後に現れる左右対称性の急性脳浮腫で、その後しばしば播種性血管内凝固、多臓器不全の続発を伴うことがある。患者剖検例の病理組織学的検査では脳血管の障害による血液脳関門 (BBB) の破綻が明らかであるため、急性経過での血管障害がIAEの基盤病変であると考えられている。本疾患の発症メカニズムに関しては解明されていない点が多く、動物モデルもこれまでに報告されていない。患者の中枢神経系からはインフルエンザウイルスが分離されないことから、ウイルス感染による直接的な脳組織傷害が本疾患の原因である可能性は低いと考えられる。一方、患者の血液中にはTNF-α、IL-1β、IL-6などの炎症性サイトカインの上昇が認められることが多い。これら炎症性サイトカインの血中濃度とIAEの重篤度が比例することから、サイトカイン血症による急性の血管障害がIAEの原因であるという説が有力である。インフルエンザ脳症の病理組織学的所見がエンドトキセミアによる脳症と類似することから、本論文の第1章では、インフルエンザAウイルス (IAV) 感染乳のみマウスへのリポポリサッカライド (LPS) 投与によるIAEモデルの作出を試みた。IAVとLPSを接種したマウス (IAV+LPS群) ではLPS単独接種群のマウスに比べ、神経病原性と脳血管透過性の亢進がより重度に発現することが分かった。病理組織学的検索では、IAV+LPS群の脳に微小出血、浮腫および好中球浸潤が認められ、同群マウスはIAEと同様の血管障害による脳症を示していた。IAV+LPS群マウスの血漿では、IAVまたはLPSを接種したマウスに比べ、TNF-α、IL-6が有意に上昇しており、IAE患者の血清学的検査所見に一致していた。また、IAV+LPS群マウスの脳にはIAVの感染は認められなかった。同群マウスで観察された脳病変、血中サイトカイン動態、および脳におけるIAVの不在がIAEの特徴に一致していたことから、IAV感染乳のみマウスはLPS接種によりIAE類似脳症を示し、IAEの病態モデルとなることが明らかにされた。本論文の第2章では、IAV+LPS接種マウスにおけるIAE様脳病変の形成メカニズムを病理学的に解析した。その結果、IAV+LPS群マウスの脳ではIAVまたはLPS接種群と比べ、アポトーシス細胞の増加がみられた。アポトーシスは主に脳の血管周囲で見られ、その一部は血管内皮様の紡錘形細胞だった。また、アポトーシス陽性細胞の一部はアストロサイトのマーカーに対して陽性を示した。アストロサイトと血管内皮細胞はBBBの機能と密接に関係しており、IAV+LPS群マウスでは、これらの細胞のアポトーシスによるBBBの破綻がIAE様脳病変を引き起こす一因になっていることが示唆された。一方、脳血管内皮細胞に発現するタイトジャンクション (TJ) 蛋白質の発現量を比較したところ、マウス群間での有意な差は認められなかった。このことから、IAV+LPS群マウスのIAE様脳症の形成にはTJの機能低下による内皮細胞間透過性の亢進は重要な要因ではないと考えられた。過去の報告によると、IAE患者の脳グリア細胞や血管内皮細胞においてもアポトーシスの増加が示されており、本実験のIAV+LPS群マウスの脳症病変はIAEと共通のメカニズムにより形成されていることが示唆された。本論文では、乳のみマウスにおいてIAVの肺感染がLPS誘発性の脳症および炎症性サイトカイン産生を増強させることを示した。同処置を行ったマウスの脳の病理組織像、血中サイトカイン動態およびウイルス分布はIAEの特徴に一致した。また、その脳症病変の形成には脳血管内皮細胞とアストロサイトのアポトーシスが関与しており、本実験のIAV+LPSマウスではIAEと共通のメカニズムにより脳症病変が形成されていると考えられた。また、IAV+LPS群マウスでは血中サイトカイン濃度の上昇が脳におけるアポトーシス誘導の引き金となっていると考えられ、ヒトにおいても高サイトカイン血症による脳血管内皮細胞とアストロサイトのアポトーシスがIAEの原因となる可能性が示された。本マウスモデルはIAEの早期診断法と有効な治療法の開発に役立つことが期待される。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第9486号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 獣医学
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/42819
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Submitter: 田中 智久

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