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Canine reticulocyte exosomes : parallel and selective extrusion of Na,K-ATPase and stomatin during reticulocyte maturation in dogs with HK and LK red cell phenotypes

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k9656

Title: Canine reticulocyte exosomes : parallel and selective extrusion of Na,K-ATPase and stomatin during reticulocyte maturation in dogs with HK and LK red cell phenotypes
Other Titles: 犬網状赤血球エクソゾーム : HK 型ならびにLK型犬の網状赤血球成熟過程におけるNa,K-ATPaseとstomatinの選択的同時排出機構
Authors: Komatsu, Tomohiko1 Browse this author
Authors(alt): 小松, 智彦1
Issue Date: 30-Jun-2010
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 網状赤血球の成熟は、赤芽球系細胞分化・成熟の最終段階であり、成熟赤血球が必要とする膜の特性を獲得するために、トランスフェリンレセプター(TfR)をはじめとする過剰/不要な細胞膜成分を排除する過程である。この過程には、タンパク質分解、ならびにエクソゾーム(exosome) と呼ばれる微小小胞の放出が関わるとされる。犬網状赤血球にはNa,K-ATPase が存在するが、これは成熟赤血球に至る過程で消失し、結果として、犬赤血球は一般に高Na+、低K+のLK 型赤血球となる。一方で、柴犬や珍道犬には遺伝的にNa,K-ATPase を保持したHK 型赤血球をもつ個体が存在する。本研究の目的は、犬網状赤血球成熟過程におけるNa,K-ATPase 消失におけるエクソゾームの役割と、そのHK/LK 赤血球表現型との関連の解明である。第1章では、犬網状赤血球の成熟過程で放出される小胞の性状を解析した。LK 型犬から得た網状赤血球を孵置し、24、72 時間後に上清を分別遠心すると微小小胞が得られた。この小胞は直径20~60 nm で、Hsc70、TfR など、既報エクソゾームの指標となるタンパク質を主要成分として含むことから、エクソゾームと判断した。膜タンパク質の解析から、犬の網状赤血球膜に含まれるが赤血球膜には存在しないNa,K-ATPase α サブユニット、Hsc70、TfR、GLUT1、ならびに脂質ラフトタンパク質のひとつstomatin は、いずれもこのエクソゾームに存在した。一方で、赤血球膜の主要タンパク質、バンド3、スペクトリンは検出されなかった。また、Na,K-ATPase、Hsc70、TfR はTriton X-100 可溶性画分に、一方、GLUT1 は不溶性画分に、GLUT1 と相互作用するstomatin は両画分に含まれていた。さらに、このエクソゾームをショ糖密度勾配遠心で分画したところ、小胞は比重1.06 g/ml~1.14 g/ml(画分4~12)の範囲に広く分布し、Hsc70、TfR、stomatin は画分5~8、特にラフトマーカーのGM1 と同じ画分7 と8 に多く含まれていた。一方、Na,K-ATPase は、より比重の小さい画分4~6 に主に認められた。これらの結果から、網状赤血球エクソゾームの組成は均一ではなく、タンパク質構成の異なるポピュレーションから成ることが明らかになるとともに、Na,K-ATPase と一部のstomatin、Hsc70 が同一ポピュレーションに存在することが示唆された。そこで第2章では、overhydrated stomatocytosis (OHSt)患者における欠損を発端に見出され様々なトランスポーターとの相互作用が提唱されているstomatin に焦点をあて、遺伝子型hk/hk のHK 型、hk/lk とlk/lk 由来のLK 型各犬の網状赤血球と成熟赤血球におけるstomatin の含量を検討した。HK 型(hk/hk)の赤血球膜におけるstomatin 含量がヒト赤血球と同程度であるのに比べ、LK 型(lk/lk)はその2%以下でOHSt 患者と同様の低値を示した。また、遺伝子型hk/lk のLK 型赤血球のstomatin 含量はHK 型の10%程度で、hk/hk 型、ならびにlk/lk 型と明確な差異を示した。上述のようにLK 型(lk/lk)網状赤血球にはstomatinが存在し、これに対するHK 型の赤血球、網状赤血球のstomatin 含量はそれぞれ8 倍、12.5倍であった。Na,K-ATPase とGLUT1 にも類似した量的関係が認められた一方で、TfR 含量はHK 型、LK 型の網状赤血球で同程度であった。これらの成績から、HK 型とLK 型は、いずれも網状赤血球の成熟にともなったstomatin とNa,K-ATPase の減少を同様に生じること、成熟赤血球のHK/LK 表現型が両型の網状赤血球における発現量の差違に基づくことが明らかになった。以上のように、本研究は、複数のポピュレーションを含む犬網状赤血球エクソゾームがNa,K-ATPase やstomatin をはじめとする膜タンパク質の同時、かつ選択的な除去に寄与すること、ならびにstomatin の膜含量がHK/LK 遺伝子型の指標となることを明らかにした。加えて、これらの知見は、HK/LK 赤血球表現型を生じる本質的要因がTfR を発現するよりも前の前駆細胞の段階にあることを示唆するものである。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第9656号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 獣医学
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/43146
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Submitter: 小松 智彦

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