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先天性無歯症(anodontia)

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/44024

Title: 先天性無歯症(anodontia)
Authors: 大畑, 昇 Browse this author
藏重, 潤司 Browse this author
Issue Date: Jul-2010
Publisher: MyMed
Journal Title: MyMed
Abstract: ヒトの歯の正常な数は、乳歯が20(乳切歯8、乳犬歯4、乳臼歯8)、永久歯が32(切歯8、犬歯4、小臼歯8、大臼歯12)である。各歯牙を簡単な符号で表したものを歯牙記号といい、歯列を構成する歯種とその数とを歯牙記号で簡単に表示したものを歯式という。本邦では乳歯をローマ数字(Ⅰ~Ⅴ)またはアルファベット小文字(a~e)で表し、永久歯をアラビア数字で表した藤田1)の歯式が最も多く使われる。歯式は歯が欠損している場合や、交換期にあって乳歯と永久歯とが混在している場合でも、個体の歯群の状態を明確に図表示できるのが特徴である。歯牙が1コ以上不足しているものを歯数不足症といい、先天性に不足している(歯胚成長が先天的に欠損している)場合に真性歯牙不足症、乏歯症あるいは先天性無歯症(anodontia)と呼び、また外傷、炎症、手術等によって欠如したものを仮性歯牙不足症あるいは後天性無歯症と呼ぶ。ヒトの歯の正常な数は乳歯が20、永久歯が32 と説明したが、歯の数、形や色に関して、正常と異常という概念を厳密に定義し、これを変異や奇形とはっきり区別することは困難である。歯科臨床においては、歯の欠損に対して有床義歯や橋義歯(ブリッジ)による補綴処置を行うことが日常臨床であるので、他に遺伝的疾患や全身的疾患が認められない先天性無歯症の場合は、「普通とは変っている」という意味の常識的解釈でよい。ただし、小児期における「乳歯は永久歯に生え代るため一時的なもの」という一般的常識は通用しないので、乳歯といえども永久歯と変わりなく貴重な天然歯であると考えて、う蝕予防に心がけ、出来るだけ長期保存することが重要である。先天的無歯症の疑いがある場合は、それを否定するためには、過去における抜歯や外科手術の病歴の存在が肝要である。稀にではあるが、乳歯の抜歯の際、後続永久歯の歯胚が抜去されることがあるからである。歯胚の欠如と、歯の形成は行われたが萌出しない状態との区別はX 線写真撮影検査によって行われる。先天性無歯症には完全無歯症(complete anodontia)と部分的無歯症(partial anodontia)とがある。乳歯と永久歯を含めた完全な無歯症あるいは完全に近い部分無歯症の発現は、一般には遺伝あるいは全身疾患によるとされているが、定説はない。全身的症状の一つとして外胚葉性異形成症(ectodermal dysplasia:皮膚およびその付属器を含む外胚葉性組織の先天性欠損)と関連する汗腺、頭髪、爪あるいは虹彩の形成異常などが認められることもあるが、外胚葉性異形成の認められない場合もある。小児に対する歯科治療の目的は、咀嚼器官の成長発育に障害を与える因子となる歯および歯周組織の疾患を予防し、疾患にかかった場合には早期発見・診断を行い初期治療または経過観察を継続することにより、健全な成長発育を促すことにある。いいかえれば個体のもつ独自の咀嚼系の成長発育過程のなかで、乳歯列期、混合歯列期および永久歯列完成期を通して機能的な咬合の調和が保たれるように管理し、顎骨の成長発育的変化に適応させながら、正常な有歯顎の成人咬合まで誘導させていくことである。その中で、小児の先天性無歯症患者においては、義歯装着により咀嚼機能および構音機能の改善とともに整容的改善を図り、同世代とのコミュニケーション能力の育成をめざすべきである。すなわち口蓋裂のような先天的疾患と同様に、患者の成長・発育を考慮したノーマライゼイションを主目的とした歯科医療でなければならない。成人期から壮年期、高齢期における先天性無歯症に対する歯科治療は後天性無歯症と同様に患者のライフサイクルにあわせたQOL の維持・向上を主目的とした歯科補綴治療が中心となる。
Relation: http://www.mymed.jp/di/xjs.html
Type: article (author version)
URI: http://hdl.handle.net/2115/44024
Appears in Collections:歯学院・歯学研究院 (Graduate School of Dental Medicine / Faculty of Dental Medicine) > 雑誌発表論文等 (Peer-reviewed Journal Articles, etc)

Submitter: 大畑 昇

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OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

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