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Analyses of population dynamics and establishment of harvest-based population estimation methods in the sika deer (Cervus nippon) in Hokkaido, Japan

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k8872

Title: Analyses of population dynamics and establishment of harvest-based population estimation methods in the sika deer (Cervus nippon) in Hokkaido, Japan
Other Titles: 北海道に生息するニホンジカ(Cervus nippon)個体群の動態解明と 捕獲数を用いた個体数推定法の確立
Authors: Ueno, Mayumi1 Browse this author
Authors(alt): 上野, 真由美1
Issue Date: 25-Dec-2008
Publisher: Hokkaido University
Abstract: シカ類は世界各地で激増し、人間社会との軋轢を高めているため、駆除や狩猟による捕獲(以下、捕獲)を通じた個体数コントロールが試みられている。しかし、いまだに個体数を目標レベルにまで減少させた例はなく、捕獲の個体数削減効果の検証と個体数管理に必要な分析手法の確立が求められている。本研究は、捕獲効果の検証と捕獲数を用いた個体数推定法の確立を目的に、以下の3つの課題に取り組んだものである。課題1:齢別捕獲数を用いた個体数復元法を確立(2章)。課題2:ニホンジカ個体群の動態分析と捕獲効果の検証(3章)。課題3:大規模スケールでの個体数推定法の確立(4章)。また,総合討論として、4章で検討した手法を実施する場合の問題点を議論している(5章)。2章では、齢別捕獲数を出生年ごとに集計することで、過去の個体数を復元する手法であるコホート解析法の改良を行っている。原理に忠実な方法(以下、オリジナルコホート解析)は、ある年の個体数復元のために寿命と同じ年数の齢別捕獲数が必要なため、寿命の長い陸棲大型哺乳類ではほとんど適用されていない。水産資源管理学では、捕獲データと同期間の個体数復元を可能にする方法が開発されているが、捕獲率にいくつかの仮定を置くため、陸棲大型哺乳類に適用するためには、それらの仮定の妥当性やより適切な仮定の探索が必要である。この章では、ノルウェーのヘラジカの長期間にわたる齢別捕獲数を用いて、オリジナルコホート解析によって算出した齢別個体数を真に近い値と考え、仮定の妥当性を検討した。その結果、データの最終年における齢別捕獲率は、捕獲率の年変化に一定の傾向が見られない限り、過去数年間の平均捕獲率に等しいと仮定することが、後半年の復元個体数の正確性を著しく高めることを明らかにした。このように、より適切な仮定を得ることで、陸棲大型哺乳類における個体数復元法の改良に貢献した。3章では、2章で検討した手法を用いて、1990-2001年における北海道足寄町ニホンジカ個体群の動態を分析し、個体数コントロールに対する捕獲の効果を検証した。90年代前半において、メスの捕獲率は低い値で推移し、個体数は増加し続けた。一方、個体群成長率への密度効果が検出され、個体群自己制御機構の存在が示唆された。しかし、密度が最も高い時でさえ個体群成長率は正であり、密度効果によって個体数は減少しなかった。個体数が初めて減少したのは、積極的なメスジカ捕獲が開始された1998年の翌年で、捕獲率の上昇だけでなく1歳個体の加入率の低下がこの減少に寄与していた。加入率の低下には、子の母親にあたる2歳以上メスの捕獲率の上昇が作用していた。2歳以上メスの捕獲が加入率を低下させた理由には、母親を失った孤児は生存に不利であることが考えられた。以上の分析から、個体数が過剰な状態にあるニホンジカを減少させるためにはメスジカの大量捕獲が不可欠であることが立証された。4章では、3章で復元した個体数を使って自然増加率の推定モデルを作成し、大規模スケールでの新たな個体数推定法を検討した。Matsuda et al. (2002)やYamamura et al. (2008)は、ライトセンサスで得られた個体数指数の動向を参照しながら、捕獲実績に基づいて個体数を推定する手法を開発した。しかし、仮定する自然増加率の大きさによって推定個体数が大きく異なるという問題があった。3章の分析に基づき、密度効果を考慮した自然増加率の時間的変化をモデル化することによって、この問題を解決し、より確度の高い個体数推定が可能になると考えられた。足寄町の復元個体数から自然増加率の推定モデル(以下、足寄モデル)を作成し、その上位個体群にあたる道東個体群の個体数推定法を検討した。その結果、新しい推定値の年変化は妥当で、個体数は自然増加率に1.15を仮定した場合に近い値が得られた。このように、本章ではモデル個体群から得た詳細な情報を取り入れた個体数推定法を確立し,確度の高い個体数推定を可能にした。5章では4章で検討した手法を実施する場合の問題点を議論し、個体群動態に関する詳細な情報を得ることができるモデル個体群の重要性を指摘し、モデル地区からのデータ収集システムの確立を提言した。以上のように本研究は、シカ類の個体数コントロールに不可欠な捕獲の個体数削減効果を検証し、個体数管理に必要な個体数推定法の確立に貢献した。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第8872号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 農学
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/44658
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Submitter: 上野 真由美

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