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ヒトアルカリ性ホスファターゼ・アイソザイムの阻害剤に対する感受性の相違
Title: | ヒトアルカリ性ホスファターゼ・アイソザイムの阻害剤に対する感受性の相違 |
Other Titles: | Differences in the sensitivity of human alkaline phosphatase isozymes to inhibitors |
Authors: | 飯岡, 拓馬1 Browse this author | 出山, 義昭2 Browse this author →KAKEN DB | 吉村, 善隆3 Browse this author →KAKEN DB | 鈴木, 邦明4 Browse this author →KAKEN DB |
Authors(alt): | Iioka, Takuma1 | Deyama, Yoshiaki2 | Yoshimura, Yoshitaka3 | Suzuki, Kuniaki4 |
Keywords: | アルカリ性ホスファターゼ | 阻害剤 | ドデシル硫酸ナトリウム |
Issue Date: | Mar-2012 |
Publisher: | 北海道歯学会 |
Journal Title: | 北海道歯学雑誌 |
Volume: | 32 |
Issue: | 2 |
Start Page: | 202 |
End Page: | 209 |
Abstract: | ヒトアルカリ性ホスファターゼ(ALP)アイソザイムは臓器特異的な小腸型,胎盤型,胚細胞型と,臓器非特異的な骨型,肝臓型,腎臓型などに分類される.多くの動物種の臓器由来のALPでは,アイソザイムのタイプによってALP活性の阻害剤に対する反応性が異なることが報告されているが,ヒトALPでは報告が少ない.そこで4種のアイソザイムを用いて,ヒトの場合にも,遺伝子レベルでのアイソザイムの違いにより阻害剤に対する反応性の違いがあるのかと,反応性の違いが構造の安定性に関連するのかを明らかにすることを目的に研究を行った.活性はパラニトロフェニルリン酸(pNPP)を基質として測定した.ALP活性のpH依存性を調べたところ,骨型と小腸型は10.22,肝臓型は9.78,胎盤型は10.62で最大活性を示した.それぞれの至適pHにおけるALP活性の阻害剤濃度依存性を調べた.Tetramisole,levamisoleとL-homoarginine存在下で,4種のALP活性はいずれも阻害剤の濃度に依存して抑制されたが,胎盤型の阻害は最大でも20%以下であった.骨型と肝臓型は最大で90%以上阻害され,小腸型の阻害は50~70%であった.ビスホスホネートであるetidronate存在下でも胎盤型はほとんど阻害されず,肝臓型は濃度依存的に90%阻害された.一方,etidronateに対して小腸型は骨型に比べてより低濃度で阻害された.Etidronateを除いて,アイソザイムのタイプによって阻害剤に対する反応性は異なる傾向を示した.ALPはホモダイマーでありその界面に活性中心が存在する.そこで,タンパク質のサブユニットを解離させ構造に影響を与えるsodium dodecyl sulfate(SDS)を用いて,ALP活性の阻害剤濃度依存性に与える影響を調べた.その結果,骨型はSDS存在下でtidronateによる阻害が促進され,小腸型ではtetramisole,levamisoleとL-homoarginineによる阻害が低下したが,胎盤型ではSDS濃度を4%まで変化させても阻害剤への反応には変化がなかった.胎盤型ALPはホモダイマー間にS-S結合を持つと報告されており,そのタンパク質構造の安定性の高いことが本研究結果からも示唆された.以上の結果は,ヒトALPにおいてもアイソザイムのタイプによって阻害剤に対する反応性が異なることと,胎盤型ALPの阻害剤に対する反応性の低さに構造の安定性が関与する可能性があることが示唆された. |
Type: | article |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/48714 |
Appears in Collections: | 北海道歯学雑誌 > 第32巻 第2号
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Submitter: 飯岡 琢磨
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