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視覚の時空間情報処理の初期過程に関する心理物理学的研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.11501/3052767

Title: 視覚の時空間情報処理の初期過程に関する心理物理学的研究
Authors: 舟川, 政美 Browse this author
Issue Date: 25-Mar-1991
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 視覚の初期過程における空間的情報処理、即ち、網膜像から有用な情報を効率的かつ高速に抽出し、原始スケッチを構成することが本論文の主題である。原始スケッチは、Marr(1982)によって提唱された計算的アプローチの中で定式化された概念であり、画像を視覚の目的に沿って内的に表現するための標準的記述である。画像から有用な情報を抽出するという観点から、現在広く、認知されているモデルが多重チャネルモデルである。このモデルに従えば、視覚の初期過程は2次元の空間周波数と時間周波数に選択的感度を有するフィルタの集合である。線形システム解析の適用によって、画像の特徴の検出には、ガボール関数型のフィルタが最適である。そのようなフィルタは、周波数領域と時間・空間領域で共に局在し、空間周波数の分析と位置の検出を最も良く両立させることができる。画像から特徴を検出しその位置を計算する仕組みは、高度視力の1つである副尺視力を利用した心理物理学的研究によって解明されつつある。これまでの研究や本論文で報告された心理物理学的実験は、運動対象に対しても適切な空間的情報処理が機能していることを示唆するものであり、空間的画像処理と運動検出をできる限り分離して扱おうとする従来のアプローチの限界を明確に示している。分析され分節化され統合される画像の特徴は、すでに時間的にも空間的にも重み付けられた平均値である。 視覚系にとっての入力とは、時空間的に展開している輝度分布であり、視覚系はそれに対し時空間的統合を行い静止したり運動している対象を検出する。この状況は、x-t平面において定義される時空間的方向性を持つフィルタを想定することによって説明される。これはガボール関数型の時空間的フィルタであり、その感度プロファイルは、“時空間的なガウス関数の窓の中を正弦格子が運動している” ようなものになる。このガボール関数型時空間フィルタは、2次元の特定の空間周波数成分からなる対象が、その対象の軸に垂直な次元で特定の速度で運動している状況に、選択的に感度を持っている。即ち、これは、運動の検出だけでなく、その対象に対する安定した空間的情報処理の基礎を与え、位置情報の時空間的統合の線形性や位相情報の符号化を可能にする。局在性・空間周波数選択性・時間周波数選択性・方向選択性・位相選択性などの要件を満たすこのような時空間フィルタに基づいて、空間的情報処理と運動の検出の両方が可能な時空間的情報処理モデルを構想することができる。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第2839号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 文学
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/49566
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Submitter: 舟川 政美

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