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食肉の熟成に伴う筋原繊維Z線の脆弱化機構に関する研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.11501/3122331

Title: 食肉の熟成に伴う筋原繊維Z線の脆弱化機構に関する研究
Authors: 島田, 謙一郎 Browse this author
Issue Date: 25-Mar-1997
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 家畜や家禽の骨格筋を食肉として利用するためには,一定期間,3-5℃で熟成する必要がある。この熟成過程において筋原線維のZ線が脆弱になり,食肉は軟化する。本研究の目的は食肉の熟成に伴うZ線の脆弱化の分子機構を明らかにすることである。本研究において,新たに以下の知見が得られた。(1) 食肉の熟成中に起こるZ線の脆弱化は,骨格構造を形成するα-アクチニンの変化に起因するのではなく,無定形物質の構成成分がZ線から遊離することによって引き起こされる。(2) Z線の無定形物質は極性脂質および中性脂質で構成されており,脂質の組成はリン脂質,トリアシルグリセロール,コレステロールおよび遊離脂肪酸である。(3) 食肉の熟成に伴いZ線から遊離する成分は,中性脂質ではなく,極性脂質のリン脂質である。(4) In vitroで,筋原線維のCa処理によってZ線の脆弱化を誘起する際にZ線からリン脂質が遊離する。(5) O.1mMのCa2+存在下で,無定形物質を構成する脂質はCa2+と結合する。(6) Ca2+と結合する脂質は,主としてリン脂質であり,負の電荷を持つホスファチジルセリンやボスファチジルイノシトールはCa2+結合能が高く,正と負の電荷を持つホスファチジルエタノールアミンやスフィンゴミエリンは結合能が低い。以上の結果から,家畜および家禽の屠畜後,骨格筋が次第に軟らかくなり食肉へと変換するのは,以下の機構によるものと結論した。すなわち,非生理的条件下で0.2mMにまで上昇したCa2+は骨格構造を成すα-アクチニンと無定形物質のリン脂質との間に形成されたイオン結合に対して競合的に作用し,Ca2+・リン脂質複合体を形成する。その結果,α-アクチニンとリン脂質間の結合が開裂するのでZ線からリン脂質が遊離し,Z線の脆弱化が惹起される。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第4173号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 農学
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/51428
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Submitter: 島田 謙一郎

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