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アデノウイルス感染によるRNA結合タンパクHuRの制御
Title: | アデノウイルス感染によるRNA結合タンパクHuRの制御 |
Other Titles: | Regulation of RNA binding protein HuR in adenovirus infected cells. |
Authors: | 黒嶋, 雄志1 Browse this author →KAKEN DB |
Authors(alt): | Kuroshima, Takeshi1 |
Keywords: | Adenovirus | E1A | Stress granule | HuR | ARE-mRNA |
Issue Date: | Sep-2012 |
Publisher: | 北海道歯学会 |
Journal Title: | 北海道歯学雑誌 |
Volume: | 33 |
Issue: | 1 |
Start Page: | 3 |
End Page: | 9 |
Abstract: | ウイルスは自らの遺伝子産物によって宿主細胞の機能を制御し,自身の増殖に有利な環境をつくる.アデノウイルス感染後期では,大部分の宿主細胞のmRNAの核外輸送は停止し,ウイルス粒子の構成タンパクをコードする後期mRNAが優先的に核外輸送され翻訳される.しかしAU-rich element(ARE)を持つmRNAは,宿主のmRNAであるにも関わらず核外輸送され安定化される.RNA結合タンパクHuRは,AREに特異的に結合し,ARE-mRNAを安定化する.本研究では,未だ解明されていないアデノウイルス感染細胞でのHuRの挙動を明らかにし,その生物学的意義について考察した.HeLa細胞に5型アデノウイルス(Ad5)を感染させ,HuRの局在変化を免疫染色法とウエスタン法で検討した.その結果,Ad5感染細胞では細胞質のHuR量が増加し,HuRの核外輸送が示唆された.このHuRの変化をもたらすウイルスの原因遺伝子を解明するため,様々な変異型Ad5を感染させ,HuRの局在を検討した.その結果,E1Aを欠失した変異型Ad5(dl312)感染細胞ではHuRの局在変化は見られなかった.さらに,E1Aを強制発現させた細胞では,感染時と同様のHuRの局在変化が再現できた.従って,Ad5感染細胞のHuRの変化は,E1Aによってもたらされることが明らかになった.HuRは細胞質顆粒構造体のStress granules(SG)への局在が報告されているので,ウイルス感染時のSGを免疫染色法で検討した.その結果,通常ヒ素刺激下で出現するSGが,Ad5感染細胞では形成されないことがわかり,これにはE1AによるHuRの局在変化が必要なことも解明された.以上の結果は,アデノウイルスはE1A遺伝子産物を利用して,宿主細胞のHuRの核外輸送やSGの抑制をもたらし,自己の増殖を制御していることを示唆している. |
Type: | article |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/52154 |
Appears in Collections: | 北海道歯学雑誌 > 第33巻 第1号
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Submitter: 黒嶋 雄志
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