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Genomics and proteomics of sulfur-oxidizing bacteria predominant in freshwater lake environments

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://doi.org/10.14943/doctoral.k11346
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Title: Genomics and proteomics of sulfur-oxidizing bacteria predominant in freshwater lake environments
Other Titles: 淡水湖沼環境で優占する硫黄酸化細菌のゲノミクスおよびプロテオミクス
Authors: 渡邉, 友浩1 Browse this author
Authors(alt): Watanabe, Tomohiro1
Issue Date: 25-Mar-2014
Abstract: 硫黄、窒素、および炭素は、生体を構成・駆動する上で重要な元素であり、その自然環境中での挙動は微生物活動に強く依存する。系統的に極めて多様な化学合成硫黄酸化細菌(SOB)は、これら諸元素の循環をリンクする微生物として地球上に普遍的に生息する。このような特性に加え、その豊富な存在量から、海洋環境に生息するSOBは全球規模での元素循環に大きく貢献すると考えられている。このため、その生態を解明するために主要種の特定ならびにゲノム解析が成されてきた。蓄積してきた SOB のゲノム情報からは、系統ごとに異なる機能が解明されつつある一方で、多様な硫黄酸化経路の存在が見出されてきた。しかし、機能が類似する複数の経路や酵素の存在意義は十分に理解されておらず、重要な研究テーマの一つとなっている。 一方で、陸域の元素循環に寄与する淡水湖沼の SOB は、海洋と比べて存在量が少ないことから研究が容易ではなく、現場に生息する系統すら不明瞭であった。一般的に、同じ機能群の細菌であっても、海水と淡水環境では主要種が異なる系統に属することが知られている。このことから類推すると、淡水湖沼には独自の系統の SOB が生息し、特有の性質を有することが推察される。このような SOB のゲノムが解明されることによって、他の環境由来の SOB との比較から、SOB 全体を俯瞰した進化過程を考察することが可能になると期待される。本研究では、淡水湖沼に生息する SOB の系統を特定し、主要種の硫黄酸化経路の特徴をゲノムから見出すことを目的とした。 また、プロテオーム解析によりその発現ならびに淡水湖沼の SOB に特有の性質を検討した。淡水湖沼の主要な SOB を特定するために、部分循環湖の塩川ダム湖(山梨県)の嫌気水槽の水試料、地理的位置の異なる5つの淡水湖沼(琵琶湖、オコタンペ湖、スカーレン大池、親子池、丸湾大池)の堆積物試料を対象として4つの硫黄酸化関連遺伝子のクローニング解析を行った。この結果、いずれの淡水湖沼においても海洋環境とは異なりBataproteobacteria 網のSOBが優占することが示され、これらは不完全チオ硫酸酸化型の SOB であることが推定された。そして、嫌気水槽と堆積物の主要種の1つを、それぞれSulfiritalea hydrogenivorans と Sulfuricella denitrificansであると同定した。これらは塩川ダム湖の嫌気水槽から単離された SOB であり、本研究の調査地以外の淡水環境からもその存在が見出されている。以上より、これら2種を淡水湖沼のモデル SOB として、それぞれの基準株である sk43H と skB26 の完全ゲノム配列を対象にゲノム解析を行った。sk43H のゲノムは約3.8Mbの染色体、skB26 のゲノムは約3.1 Mb の染色体との約87kb のプラスミドから構成されていた。それぞれのゲノムから推定された 3587と 3073 遺伝子のBLAST解析を行った結果、それぞれの染色体上の 44 と53遺伝子が硫黄酸化に関与するものと推定された。その遺伝子構成から硫黄酸化経路を構築した結果、両株とも同じ硫黄酸化経路を有することが明らかとなった。これは、クローニングで解析した各硫黄酸化遺伝子の系統関係から推定された不完全チオ硫酸酸化型の経路であった。また、他のBataproteobacteria 網の硫黄酸化細菌のゲノムを含めた比較解析によって、この硫黄酸化経路が淡水性 SOB にのみ保存されていることが明らかになった。一方で、亜硫酸を酸化する2つの経路の存在が明らかとなった。次いで、硫黄酸化関連遺伝子の発現を確認するために skB26を用いてプロテオーム解析を行った。解析を行う際、skB26が耐冷性SOBであることに着目した。湖沼環境における SOB の基質の供給源は湖底で起こる硫酸還元が主であり、湖底付近はしばし低温になる。従って、低温への適応は湖沼環境において SOB が基質にアクセスする上で重要な性質であると考えられる。skB26は至適温度(22℃)と分離源の温度(5℃)で培養し、タンパク質量を比較することで低温への応答を硫黄酸化経路の発現と共に検討した。この結果、5℃においてリボソームタンパク質、RNA シャペロン、RNA ヘリカーゼ Sulfur relayタンパク質、そして脂肪酸生合成酵素の1つFabZの著しい増加が認められた。これらから推定される機能より、正確な翻訳の進行と膜流動性の維持が低温への主な応答であると結論した。その他、12タンパク質の著しい増加が確認されたが、今回の解析だけでは低温耐性との関連付けはできなかった。一方で、硫黄酸化関連タンパク質はリボソームタンパク質に次いで2番目に存在量が多い機能群であることが明らかとなった、そして、チオ硫酸を硫酸まで酸化する一連の酵素群の発現が確認された。これは、Sox によるチオ硫酸の不完全酸化、Dsr による元素状硫黄酸化、そして ATP生成を伴う APS経路を介した亜硫酸酸化によって構成されていた。本研究で明らかとなった硫黄酸化経路は、クローニング解析において種を特定することができなかった他のベータプロテオバクテリアでも共通すると考えられる。実際にこのような経路を有する SOB が優占していたことを鑑みると、この硫黄酸化経路は、淡水湖沼環境に適応した SOB が共有する性質であると考えられる。DsrおよびATP生成を伴う APS経路を介するチオ硫酸の酸化は、完全チオ硫酸酸化型の経路よりもエネルギー獲得効率が良いと考えられる。従って、この硫黄酸化経路は、無機硫黄化合物の供給が制限される淡水湖沼環境での生存に有利なものと考えられる。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第11346号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 環境科学
Examination Committee Members: (主査) 教授 福井 学, 教授 森川 正章, 准教授 落合 正則, 助教 小島 久弥
Degree Affiliation: 環境科学院(生物圏科学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/58269
Appears in Collections:学位論文 (Theses) > 博士 (環境科学)
課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 環境科学院(Graduate School of Environmental Science)

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