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針葉樹造林上のヤング率の変異
Title: | 針葉樹造林上のヤング率の変異 |
Authors: | 小泉, 章夫 Browse this author →KAKEN DB |
Keywords: | 強度特性 | 力学特性 |
Issue Date: | 1-May-1998 |
Publisher: | 日本木材加工技術協会 |
Journal Title: | 木材工業 |
Volume: | 53 |
Issue: | 5 |
Start Page: | 206 |
End Page: | 211 |
Abstract: | 木材は生物起源の材料なので、材質のバラツキが大きい。強度特性も樹種内の変異が大きく、構造材として設計・利用する上で障害となっている。このため、目的に応じて強度等級区分が行われる。ここで、構造材の設計強度は各特性の統計的下限値を基準にするので、区分されたロット内のバラツキは小さいほどよい。等級区分の非破壊指標として、従来、節径比、密度、ヤング率などが用いられてきた。このうち、単独の指標としてもっとも精度が高いのが繊維方向のヤング率であり、グレーディングマシンや縦振動法(共振法)による製材・丸太のヤング率を指標とした集成材原板などの強度等級区分が行われている。節などの欠点に起因するバラツキを別にすれば、材質変異は、遺伝変異と環境変異、および両者の交互作用による変異の各成分に分けられる。各種の区分別の変異成分を第1表に整理した。たとえば、実生林分内の個体間の変異は遺伝変異と環境変異の両方を含んでいるが、同じ種苗を用いた林地内の林分間で平均値を比較すると、遺伝変異は相殺されて、林分間の環境変異があらわれる。遺伝変異の要因としては、産地(provenance)、家系、クローン、個体内の部位などが挙げることができる。一方、環境変異は、地域、林分、個体間の環境差によって発現する。これらの影響を明らかにして、どの系統やクローンを造林の種苗として使うのか、どのような自然環境に植栽し、どのような施業によって環境を制御すべきなのかを特定することは年月のかかる作業である。これらは用材生産を目的とした林業において、長期的・究極的な県境目標に挙げることができよう。陸学特性は単独の形質ではない。マクロなものからミクロなものまで、各段階の組織構造上の特性が関与する複合形質である。それらを列挙すれば、平均密度、年輪幅、繊維長、繊維傾斜、晩材率、早・晩材密度、細胞径と壁厚、二次壁中層のミクロフィブリル傾角などがある。これらのうち、一つ以上の特性が力学特性の発現に関与するわけだが、組織構造上のどの特性の変異が大きく、力学特性に寄与しているかを明らかにすることも重要な研究課題である。本稿では、代表的造林樹種であるスギとカラマツについて、材質指標としてのヤング率の変異について、要因別に整理を試みた。 |
Rights: | 著作権は日本木材加工技術協会にある。利用は著作権の範囲内に限られる。 |
Type: | article |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/68153 |
Appears in Collections: | 農学院・農学研究院 (Graduate School of Agriculture / Faculty of Agriculture) > 雑誌発表論文等 (Peer-reviewed Journal Articles, etc)
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Submitter: 小泉 章夫
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