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木ダボ接合の経緯と施工事例

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/68154

Title: 木ダボ接合の経緯と施工事例
Authors: 小泉, 章夫 Browse this author →KAKEN DB
Keywords: 接合具
挿入接着接合法
Issue Date: 1-Apr-2005
Publisher: 日本木材加工技術協会
Journal Title: 木材工業
Volume: 60
Issue: 4
Start Page: 185
End Page: 188
Abstract: 木質構造の剛性・耐力の向上は接合部の性能によるところが大きい。このため,構造材の接合具には鋼材がよく用いられる。鋼材は剛性・強度が大きいうえに,破壊にいたるまでの靭性が大きく木材の脆性を補って耐震性を高める上で効果的だからである。ただし鋼材の性能を生かすには破壊モードをうまくコントロールする必要がある。ボルトなどの接合具をせん断抵抗型で用いると,被接合部材の割裂によって破壊してしまうことも多く,その場合,強度のばらつきも大きい。 接合具をせん断抵抗型ではなく引抜抵抗型で用いる方法として,鋼棒挿入接着接合法がある。接合具は木質部材と接着して一体化することになるが,鋼材は,熱伝導率,線膨張率,膨潤性などについて,木材とは性質が大きく異なり,両者を接着した場合の長期的な性能には疑問符がつく。また建物の解体時には接合部での切断も困難である。張弦梁のような部材間のハイブリッドならよいが,鋼材を木質部材に埋め込んで使うには問題が多い。そもそも製造・加工に高いエネルギーコストがかかり,環境負荷の大きな鋼材を使わなくてすむならそれに越したことはない。 こうした観点から,秋田県立大学木材高度加工研究所(秋田木高研)でカエデの木ダボを用いた挿入接着接合法が開発された1)。この方法は思いのほか大きな耐力を発揮し,部材の材料強度に近い耐力を期待できることが明らかとなった。このタイプの接合で鋼棒の代わりに木ダボを使う際の問題は,深く埋め込んで使ったときに剛性の低い木ダボ自体が伸びるために接着層のせん断応力が不均一となって,埋め込み長さに見合った耐力が得られないことである。そこで,比較的剛性の低いポリウレタン樹脂接着剤を緩い嵌合で使うことで径長比10倍程度の長いダボの引抜強度を大きくすることに成功した。 従来,構造用の接着剤は耐水性を確保した上で木破率100%を目標に強く硬い接着を目指してきたのに対して,木ダボ接合の接着剤では強度に加えてフレキシブルなせん断剛性が求められる。エポキシ樹脂接着剤は空隙充填性はよいが,せん断剛性が木材のそれより高いために,緩い嵌合にしても接着層のせん断剛性を下げることはできなかった。秋田木高研ではいくつかの接着剤を試した結果,ポリウレタン樹脂接着剤に着目し,さらにフレキシビリティを高めるために接着剤メーカーの技術者も加わって接着剤の設計・試作も行った。木高研の機動力と学際性を生かしたプロジェクトだったといえよう。骨格となるポリマーの分子量,NCO基やフィラーの量などを変えてテストを繰り返したが,接着剤の強度と剛性は連動しており,適当なさじ加減にすることはなかなか難しかった。最適な接着剤の開発は今後に残された課題の一つである。 1996年にスタートした研究プロジェクトは木ダボの基本的な引抜性能を理論と実験の両面から検討したのち,縦継ぎ,仕口の各接合形式のモデルを示し,各種の実験とあわせて設計法の検討へと進んだ。さらにプロジェクトに関わった研究者,技術者の精力的な活動によって木ダボ接合の実際の構造への適用をはかられてきた。それらを紹介させていただく。
Rights: 著作権は、日本木材加工技術協会にある。利用は著作権の範囲内に限られる。
Type: article
URI: http://hdl.handle.net/2115/68154
Appears in Collections:農学院・農学研究院 (Graduate School of Agriculture / Faculty of Agriculture) > 雑誌発表論文等 (Peer-reviewed Journal Articles, etc)

Submitter: 小泉 章夫

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