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土壌における界面電気現象と農業・環境 : 基礎から応用まで(2013年名古屋大会シンポジウムの概要)

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/70060

Title: 土壌における界面電気現象と農業・環境 : 基礎から応用まで(2013年名古屋大会シンポジウムの概要)
Other Titles: Soil interfacial electric phenomena and agriculture/environment : from basic to application
Authors: 石黒, 宗秀 Browse this author →KAKEN DB
大島, 広行 Browse this author
小林, 幹佳 Browse this author
森崎, 久雄 Browse this author
田中, 俊逸 Browse this author
Issue Date: 2014
Publisher: 日本土壌肥料学会
Journal Title: 日本土壌肥料学雑誌
Journal Title(alt): Japanese Journal of Soil Science and Plant Nutrition
Volume: 85
Issue: 3
Start Page: 274
End Page: 278
Publisher DOI: 10.20710/dojo.85.3_274
Abstract: 土壌は,多量の電荷を持っており,多い場合は, 1m3あたり1 億クーロンに達する.これは, 1kW の電気ストーブを120 日間つけっぱなしにして流れる電気量に相当する.これに起因する特性は,土壌に様々な現象を引き起こす.アロフェン質火山灰土下層土にイオン溶液を種々pH で浸透させると,pH が高くなるほどカチオンは流出が遅れ,アニオンは流出が速くなる.これは,pH が高くなるほどアロフェン質火山灰土の負電荷量が増え,正電荷量が減ることにより,静電吸着量が変化するためである.アロフェン質火山灰土(B 層)をカラムに均一に充填し,種々のpH の1mM 塩化ナトリウム溶液を飽和浸透させて,その飽和透水係数を測定した.図1 に示すようにpHが高くなったり,低くなったりすると,飽和透水係数が小さくなる.これらの原因を検討するため,土壌の分散凝集実験を行った.1mM 塩化ナトリウム溶液中に土壌を加え,種々pH に平衡させて良く振とうし,振とう直後の濁りと,振とう静置12 時間後の濁りを濁度計で測定したところ,pH4 以下およびpH 10 以上で良く分散し,その間のpHでは凝集した.土壌が分散するのは,電気的反発力が発生するためである.分散しやすい条件では,土粒子表面近傍に形成される拡散電気二重層が厚くなり,そのため,土粒子同士が接近した状態では,拡散電気二重層が重なる.その状態においては,粒子間の濃度が外液中の濃度より高まるため,浸透圧差により土粒子間に反発力が働く.この電気的反発力の大きさを評価するため,ゼータ電位(土粒子近傍の電位)を用いて電気的反発ポテンシャルエネルギーを計算した.分散条件では,大きな値となり,凝集条件では小さな値を示し,飽和透水係数の変化と良く対応した.飽和透水係数が低下するのは,その溶液条件で電気的反発力が大きくなり土粒子が分散して,粗間隙を目づまりさせたためである.土壌の電荷特性とイオンの吸着状態は,イオン移動の遅速,土壌構造の変化,透水性の変化をもたらすため,養分移動,汚染物質移動,土壌侵食,農地の水利用,流域の水・物質循環等の農業や環境問題と密接に関係する.また,有機物で覆われた土粒子や微生物は,柔らかいコロイド粒子として,その界面電気特性を捉える重要性が指摘されるようになり,関連する現象の理解と応用が進展している.2013 年名古屋大会でのシンポジウムでは,界面電気現象の基礎理論を平易に解説した.そして,測定法と現状における課題,微生物の固体表面への付着,汚染土壌の修復技術についての研究の講演へと繋げた.難解なイメージがあり敬遠されがちな界面電気現象の基礎を理解し,今後の基礎及び応用研究の展開をもたらす機会となればと考える.
Rights: © 2014 一般社団法人日本土壌肥料学会
Type: article
URI: http://hdl.handle.net/2115/70060
Appears in Collections:農学院・農学研究院 (Graduate School of Agriculture / Faculty of Agriculture) > 雑誌発表論文等 (Peer-reviewed Journal Articles, etc)

Submitter: 石黒 宗秀

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