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重機類の走行による地表攪乱処理が流域に与える影響

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/72886

Title: 重機類の走行による地表攪乱処理が流域に与える影響
Authors: 佐藤, 冬樹 Browse this author
山ノ内, 誠 Browse this author
守田, 英明 Browse this author
Issue Date: Aug-1991
Publisher: 北海道大学演習林
Journal Title: 北海道大学演習林試験年報
Volume: 9
Start Page: 18
End Page: 19
Abstract: 天塩地方演習林では天然林における収穫方式の一つの試みとして、対象地全体について一様な択伐を行うのではなく、強度に伐採をおこなう所と全く手をつけない所を意識して区別して収穫していく「群状的な取扱いを考慮した収穫方法」の検討を行ってきている。現在、直営生産の中で伐採箇所の広さや配列、伐採後の林分の変化なとに関するデータを収集しており、収穫跡地の天然更新状況等も含めてこの様な収穫方式の適用の可能性について検討を進めている。 この群状的な森林の取扱いについて考えていく場合に重要なポイントの一つとなるのは収穫対象となる「群」の広さであろう。現在の所は、針広混交林内において普通に観察される小面積の「破壊-更新」群落を参考に0.5-1.Ohaを一つの単位として考えている。これは「立ち枯れ」などによって小規模に壊れた天然林において、跡地の天然更新状況が良好であることに基づくものであるが、この様なケースは収穫対象区域が密林から構成される場合である。しかし、天塩演習林に多いのは択伐によって疎林化していたり孔状裸地が広がっている林分であり、この様な場合は「群」のスケールを大きくして考える必要がある。適切な「群」の面積は今後の検討課題の一つであるが広くても数ha程度と考えられ、跡地において掻き起こしや植え込みなどの天然更新補助作業をおこなって森林の成立を促進させる必要がある。しかし、年間数百haに達する収穫跡地すべてについてこのような補助作業をおこなってゆくことは現在の演習林のかかえている人数では無理があり、より粗放な施業形態で天然更新を図らなくてはならない。 一方、何も手を加えなかった場合の択伐跡地における樹木の更新はササ類の繁茂によって阻害される場合が多いのに対し、ブルドーザ等の作業道跡地の更新は良好である場合が多い。これは、天塩演習林の収穫作業が冬期におこなわれるために、積雪により伐採などの林床攪乱からササ類が保護されることによるものである。しかし、集材道にあたって地表が露出・攪乱された場合にはササの根が侵入して回復するまでにタイムラグがあり、そこに樹木の種子が活着して更新をおこなえる条件が成立する。このことは、ブルドーザなどの走行面積を増やすなどして収穫時に意識して地表を攪乱してやれば更新補助作業を最小限に抑えながら天然林の更新を図れる可能性を示唆しているものと考えられる。現行の収穫作業は自然保護や択伐理論などとのからみで地表攪乱や後継樹を痛めることを嫌う傾向にあるが、収穫後ササ類の侵入により疎林化してしまうような林分では、伐採時に重機類を走らせて地表面をかき乱してやることを「収穫-更新」方法の積極的な手段の一つとして捉え直してみることも重要なことではなかろうか。
Type: bulletin (article)
URI: http://hdl.handle.net/2115/72886
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OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

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