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自家骨軟骨柱移植術に高純度アルギン酸ゲル(UPALゲル)移植を併用した治療法の開発

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://doi.org/10.14943/doctoral.k13462
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Title: 自家骨軟骨柱移植術に高純度アルギン酸ゲル(UPALゲル)移植を併用した治療法の開発
Other Titles: The development of a combination technique in osteochondral autograft transplantation using an ultra-purified alginate gel
Authors: 菱村, 亮介 Browse this author
Issue Date: 25-Mar-2019
Abstract: 【背景と目的】自家骨軟骨柱移植術(Osteochondral Autograft Transplantation:OAT)は、一期的に骨‐軟骨複合体として硝子軟骨による局所修復が得られる術式であり広く利用されている。しかしその一方で、移植用の骨軟骨柱(graft)の採取によるドナー側の術後の痛み(donor site morbidity)が懸念される。またgraft移植部周囲の間隙は硝子様軟骨ではなく線維性軟骨として修復される。よってgraft採取は最小限にとどめることが望ましいが、反面、graft移植部周囲の間隙拡大による再生組織の質の低下も問題となる。このジレンマを克服するための手段として、この間隙に対して足りない分をバイオマテリアルで補填する方法に思い至った。我々は数あるバイオマテリアルのうち、軟骨再生治療におけるscaffoldとして利用されているアルギン酸の併用に着目し、過去に研究を重ねてきた。当科では通常のアルギン酸ゲルでは問題となる細胞毒性を極限まで低下させた高純度アルギン酸ゲル(Ultra-purified alginate gel:UPAL gel)を開発し、軟骨再生の足場として優れた軟骨分化誘導能と高い構造適合性をもつことを報告してきた。そこで今回我々は、OATにUPAL gel移植を併用することで、従来よりも少ないgraft使用量においても良好な軟骨修復が得られるのではないかという仮説を立てた。本研究の目的は日本白色家兎の大腿骨骨軟骨欠損モデルを用いて、本術式の治療効果を検討することである。 【対象と方法】動物手術モデルとして、生後24週齢の日本白色家兎の膝関節(大腿骨滑車部)に直径5mm、深さ2mmの骨軟骨欠損を作成した。OAT施行群では反対側から採取した直径2.5mmのgraftを移植した。群分けは3群とし以下のものとした。無治療群(Control群)、OAT単独群(OAT群)、OAT+UPAL gel併用群(Combined群)とし、術後4及び12週における欠損部の修復について肉眼的、組織学的(n=10)に評価した。OAT群及びCombined群については、さらにgraft周辺部に着目した肉眼的、組織学的評価を行い、graft自体の軟骨変性についても詳細に評価した。術後12週においては、HE染色組織検体を用いて偏光顕微鏡によるコラーゲン配向性の評価(n=10)と修復組織とgraftにおける力学強度の評価(n=5)を行った。再生された軟骨下骨の骨量についてはMicro-CTにより評価した。移植graftの生着に関してはMicro-CTと組織学的所見から評価した。 【結果】まず肉眼的評価をみる。術後4週においては、Control群及びOAT群では部分的には修復組織はみられるものの亀裂も見られた。Combined群では大部分は修復組織で満たされていた。全体的なスコアリングではCombined群が他の群よりも有意に優れていた。Graft周辺部のスコアリングにおいてもCombined群がOAT群よりも有意に優れていた。術後12週においては、Control群では十分な組織修復は得られず、OAT群では全体的には修復されているものの、graft周囲の間隙は主に不透明な線維性組織で満たされていた。一方で、Combined群では表面が均一で半透明な組織により覆われ、主に硝子様軟骨組織で修復されていた。全体的及びGraft周辺部のスコアリングでは術後4週のものと同様にCombined群は他群に比べ、有意に優れていた。次に組織学的評価に移る。術後4週においては、Control群では繊維性の瘢痕組織が少し見られる程度であった。OAT群ではgraft周囲において硝子様軟骨組織はわずかであった。Combined群では硝子様軟骨組織はgraft周囲に一部見られるものの不十分であった。全体的なスコアリングではCombined群及びOAT群がともにControl群に比べて有意に優れていたものの、前者2群間には有意差はなかった。Graft周辺部のスコアリングにおいてもCombined群はOAT群よりも高い傾向はあるものの、有意差はなかった。術後12週においては、Control群では硝子様軟骨による組織修復は見られなかった。OAT群ではgraft周囲の硝子様軟骨組織は少なく、周囲の正常軟骨部に変性変化を認めた。Combined群ではgraft周囲はやや薄いながらも硝子様軟骨組織で満たされており、周囲軟骨の変性変化もわずかであった。全体及びGraft周辺部のスコアリングでは、ともにCombined群が他群に比べ有意に優れていた。Graftの軟骨変性は術後4週では両群間に差はなかったが、術後12週においてはCombined群がOAT群よりも有意に少なかった。修復部とgraftにおけるコラーゲン配向性はCombined群が他群に比べ有意に優れていた。同様に力学強度でも、正常軟骨部の強度と比べるとやや弱いもののCombined群が他群に比べ有意に優れていた。軟骨下骨の再生骨量とgraft生着率はOAT群とCombined群においてほぼ同等であった。 【考察】本研究ではOATにUPAL gel移植を併用することで、OAT単独のものと比較し、良好な軟骨修作用を示した。これはgraft周囲間隙に投与されたUPAL gelが骨髄間葉系幹細胞をリクルートする足場となり、そこに停留させたことで軟骨再生が促進されたものと考えた。ここで、UPAL gelが骨再生に対して阻害的に作用する可能性も考えたが、OAT単独群とCombined群の両群間において再生された骨量に特に有意な違いはなかったことから、UPAL gelは軟骨下骨の修復に対しては悪影響を与えないものと考えられた。またgraftの軟骨変性については、経時的にみるとCombined群でOAT群に比べ変性が抑制されていたが、この考えられうる要因として2点考えられた。1つ目は、UPAL gelによりgraft間隙の修復が促進されたことでgraft自体にかかる圧が分散、低減された可能性である。2つ目としては、UPAL gel自体の持つ軟骨変性抑制作用である。当科における過去の動物研究では高純度アルギン酸の関節内投与により軟骨変性を抑制したと報告しており、本研究でも同様の治療効果が示されたのではないかと推察された。 【結論】OATにUPAL gel移植を併用することで、軟骨下骨の修復を阻害することなく、良好な軟骨修復及びgraft保護作用を示した。これによりOATにおけるdonor site morbidityのリスクを軽減しながらも、十分な良好な組織修復が得られる可能性がある。また、これまでOAT単独では治療できなかった広範囲軟骨欠損に対しても、適応が拡大できる可能性が考えられた。
Description: 配架番号:2476
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第13462号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 医学
Examination Committee Members: (主査) 教授 山本 有平, 教授 荒戸 照世, 教授 生駒 一憲, 教授 渥美 達也
Degree Affiliation: 医学研究科(医学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/74727
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 医学院(Graduate School of Medicine)
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OAI-PMH ( junii2 , jpcoar )


 

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