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先端医療情報技術の普及と導入効果予測に関する研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.r7086
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Title: 先端医療情報技術の普及と導入効果予測に関する研究
Authors: 鈴木, 哲平 Browse this author
Issue Date: 25-Dec-2019
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 近年、インターネットやパソコン、スマートフォン等の普及に伴い、様々な分野における情報化が浸透している。医療分野においても、電子カルテをはじめとした情報化が進展しているが、保健医療分野においても様々な情報化の取り組みが行われている。情報化のキーワードとして、IoT(Internet of Things)やビッグデータが頻繁に取り上げられているが、IoT の技術進展は、遠隔医療への分野にも大きく貢献しており、インターネット等のネットワーク技術によるデータ収集手段の高度化により、地域や個人に対応した医療・健康・介護に関わる情報がビッグデータとして収集され、活用することが可能となったことから、保健医療分野における医療情報技術の更なる発展が期待される。しかしながら、インターネット技術を活用した病院 Web サイト分析や、遠隔医療技術を応用した健康づくり施策の分析、公開データを用いた医療機器や遠隔医療技術の普及分析といった分野においては、これまでに行われた事例は少なく、そのような先端医療情報技術が導入されることによる効果について考察された研究は少ない。本研究では、様々な領域における先端医療情報の普及に関する調査及び分析手法の提案を行うことと、それらの技術が導入されることによる効果予測を行う手法の提案を目的として、病院経営の視点、地域における健康支援の視点、世界における医療機器普及の視点と遠隔医療普及の視点から研究を行った。 第 1 章では、医療情報の定義から医療情報活用の現状と課題について、わが国における情報化の進展や病院経営、地域における医療情報活用事例を検討した上で、先端医療情報技術の定義を行い、本研究における課題である、先端医療情報技術を活用した研究手法の必要性とを明確にし、本研究で提案する手法を導入することによって得られる効果を考察する重要性について述べる。 第 2 章では、病院 Web マーケティングの視点から、Web サイト閲覧者が医療機関 Web サイトに求める情報を明らかにするため、ベイズ的アプローチによる病院 Web サイト閲覧者の閲覧行動モデルを構築し、検索キーワード別コンテンツ訪問確率の推定を行った。検索キーワード別に各コンテンツへの訪問確率を推定した結果、キーワード「診療所名」の場合、トップページとトップページ(再)、診療内容ページの訪問確率が正であることを明らかにした。キーワード「診療所名+診療内容」の場合、トップページの訪問確率は正であり、お知らせページの訪問確率は負であった。キーワード「乳がん検診」で検索した場合、乳がん検診ページでは正の訪問確率となった。閲覧者のニーズに基づく閲覧行動を把握し、Web サイトを改善することによって、求められる情報ページへの訪問確率を高めることが可能であることを明らかにした。 第 3 章では、北海道在住の一般市民における遠隔健康相談システムの需要、並びに利用価値を明らかにすることを目的とし、インターネット調査を利用して支払意思額の推計を行った。その結果、支払意思額の中央値は 367 円、平均値は 495 円であることを明らかにした。また、支払意思額に影響を与える要因を分析した結果、「利用の意思あり」の要因において支払意思額が有意に高い傾向にあることを示した。 2 第 4 章では、OECD 加盟国の医療環境、経済状況について調査し、画像診断機器の導入可能性に関する調査・分析をおこなった。29 カ国を対象に主成分分析を行った結果、各国は医療環境指標、経済状況指標によって主に 4 グループに定義可能であることを明らかにした。また、その 4 グループの中から、医療機器導入の可能性が高いグループを抽出し、CT 台数および MRI 台数を目的変数、そのほかの医療環境指標、経済状況指標を説明変数とした重回帰分析を行った結果、CT 台数および MRI 台数に最も影響のある要因は病床数であることを明らかにした。主成分分析および重回帰分析の結果を踏まえて、医療機器導入の可能性が高い順番を検討した結果、アメリカ、メキシコ、チリ、トルコにおいて医療機器導入の可能性が高いことを示した。 第 5 章では、開発途上国の IT 普及状況、医療環境、経済状況について調査し、遠隔医療実現可能性の検討を行った。分析の結果、インターネット利用率と携帯電話普及率のデータから、タイ、エジプト、モロッコ、アルジェリアで遠隔医療サービスの導入可能性があることが示唆された。主成分分析およびクラスター分析の結果、経済指標、医療環境指標、IT 普及指標によって 5 クラスターに分類され、本研究により遠隔医療サービス導入可能性が高い国は南アフリカであることが推測された(A 群: アルジェリア、エジプト、モロッコ、 インドネシア、ガーナ、チュニジア、マダガスカル、ナイジェリア、タイ、 B 群:バングラデシュ、エチオピア、ケニア、ウガンダ、インド、パキスタン、C 群: スーダン、マレーシア、ベトナム、タンザニア、フィリピン、中国、 D 群: 南アフリカ、E 群: 日本、シンガポール)。本研究で用いた Web サイト分析手法は病院経営の観点から有用であり、医療におけるデータベース・マーケティングの1つとして発展することが予想される。自治体による遠隔健康相談システムの需要および利用価値の算出手法については、利用者のニーズを把握することだけではなく、健康づくり施策の評価指標として利用されることも期待される。医療機器及び遠隔医療技術の普及分析手法については、医療機器及び遠隔医療サービスの開発・販売を行う企業のマーケティング手法や、各国における医療産業の発展を予測する技術として活用することが出来ると共に、関連する他の先端医療情報技術の導入についても応用出来ることが期待される。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 乙第7086号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 保健科学
Examination Committee Members: (主査) 教授 齋藤 健, 教授 小笠原 克彦, 客員教授 中谷 純, 准教授 遠藤 晃(北海道大学病院), 准教授 杉森 博行
Degree Affiliation: 保健科学院
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/76552
Appears in Collections:論文博士 (Doctorate by way of Dissertation) > 保健科学院(Graduate School of Health Sciences)
学位論文 (Theses) > 博士 (保健科学)

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