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学際研究プロジェクトにおける異分野研究者間コミュニケーション : インタビュー調査によるプロジェクト維持要因の仮説作成
Title: | 学際研究プロジェクトにおける異分野研究者間コミュニケーション : インタビュー調査によるプロジェクト維持要因の仮説作成 |
Authors: | 天野, 麻穂 Browse this author →KAKEN DB | 片岡, 良美 Browse this author | 川本, 思心 Browse this author →KAKEN DB |
Keywords: | 学際研究 | コミュニケーション | プロジェクトマネジメント |
Issue Date: | 2020 |
Publisher: | 科学社会学会 |
Journal Title: | 年報科学・技術・社会 |
Journal Title(alt): | Japanese Journal for Science, Technology & Society |
Volume: | 29 |
Start Page: | 51 |
End Page: | 68 |
Abstract: | 異分野連携(multi-disciplinary)研究とは、もともとのディシプリンや専門構造を保ち、各ディシプリンの境目を有したまま成果を生む研究活動をいう。一方、学際(inter-disciplinary)研究はそれぞれのディシプリンが研究の枠内で境目をなくし、新たな輪郭や構造をもった領域が形成される研究を、また超学際(trans-disciplinary)研究は、さらにディシプリン間の境目がなくなりノンアカデミックなタスクフォースが参画して行われる研究を、それぞれさす(国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター2018a)(Cummings 2013)。今世紀に入って以降、SDGs に代表されるように社会課題はより複雑化しており、特に我が国では政策的にも学際的、あるいは超学際的アプローチにより、これらに主体的に取り組むことを求めるようになっている(国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター2018b)。しかしながら、全国的にも超学際研究プロジェクトはもとより、学際研究プロジェクトの成功事例は管見の限り決して多くはない。学際研究の「成功」に寄与するための知見を得るためには、学際研究を研究すること、すなわち学際研究のメタ研究は必須である。米国では2010 年以降、Science of Team Science(チームサイエンスの科学)という、学際研究も含んだ「チームサイエンス」の有効性に影響を与える要因についてシステマティックに研究する学問分野が確立されつつある(Krzesinski 2010)。2015 年にはNational Research Council による報告書もまとめられている(Cooke 2015)。メタ学際研究には、先に述べたような実践的な意義だけではなく、科学論の大きなテーマに示唆を与えうる点でも意義がある。なぜなら学際研究においては、研究者たちは自らの専門性に立脚しつつも、その妥当性境界(藤垣2003、p.31)を拡張あるいは融合し、新たな分野を作り出そうとする。このようなある種、極端条件における研究者の振る舞い、研究者間の軋轢そして協調と創発は、分野の専門性や規範、その変容を露にすると考えられる。単純に考えれば、異分野の研究者たちが各自の研究の専門性のみをもって他の研究者の専門性を判断し、共同体を形成しているとは考えにくい。しかし、従来の科学論は学術的な専門性を中心とした観点からしか論じていないため、実際の研究プロジェクトでは、研究者らは日々の共同作業を行う中で、専門性を超えてどのような共同体を形成し、何を感じ考えながらプロジェクトが遂行されているのか未解明な点が多い。本研究では、実際にプロジェクトに従事する研究者らを直接の研究対象とした分析を行うことにより、この課題を乗り越えようとするものである。 |
Type: | article |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/82344 |
Appears in Collections: | 医学院・医学研究院 (Graduate School of Medicine / Faculty of Medicine) > 雑誌発表論文等 (Peer-reviewed Journal Articles, etc)
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Submitter: 天野 麻穂
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