HUSCAP logo Hokkaido Univ. logo

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers >
Theses >
博士 (歯学) >

接着性シーラーを用いた根管充填が垂直歯根破折の抵抗性に及ぼす効果 [全文の要約]

Files in This Item:
Daishi_Kawai_summary.pdf138.75 kBPDFView/Open
Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/85958
Related Items in HUSCAP:

Title: 接着性シーラーを用いた根管充填が垂直歯根破折の抵抗性に及ぼす効果 [全文の要約]
Authors: 河合, 大史 Browse this author
Issue Date: 24-Mar-2022
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 垂直性歯根破折は歯頸部から生じ根尖に向かう症例,根尖部から生じ歯冠側に破折していく症例があり、その発生頻度は同程度であると報告がある.しかし垂直性歯根破折と根尖部からの垂直性歯根破折では発生の原因から異なると考えられ、その予防方法も別に考慮する必要があると推測される.根尖部からの場合、根尖部に生じたマイクロクラックが歯根膜によって歯根が引っ張られる力により、伸展する。また、骨欠損のある歯根に根尖方向の力を加えると,骨欠損に面した歯根に亀裂が生じることから,扁平な歯根では骨欠損がなくても歯の沈下に抵抗する歯根膜の張力によって,頬舌方向に破折線が生じる可能性が指摘されている.さらに根管拡大形成の影響や,加圧充填時の過剰な力,水酸化カルシウムの長期根管貼薬などは,破折の危険性を高めるとの実験結果がある。したがって,根尖方向からの垂直歯根破折は様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされると考えられ,有力な原因を特定することは困難なのが現状である.しかし,原因は特定できなくても,根管壁に象牙質に近似した物性の材料を接着し,歯根全体を一体化することにより,破折抵抗性を向上させる可能性が提唱されている。しかし,この方法では充填材の除去が難しく再根管治療や,歯冠補綴時のポスト形成に問題を引き起こす。そこで本実験では,除去可能な根管充填材を根管壁に接着させる方法で破折抵抗性を向上させることが可能かを検討した.本研究では.成ブタの下顎臼歯を抜歯し分割して用いた.歯根長を 15 mm とし、K ファイル(マニー)を用いて♯55 まで根尖孔の穿通を行い,作業長 14 mm で#80 まで根管形成を行って,次の方法で根管充填を行った.S 群: 4-META/ MMA-TBB レジン(スーパーボンド ポリマー粉末 混和ラジオペーク,サンメディカル)のみで根管充填.S-G 群:S 群の根管充填法に加えて,ガッタパーチャポイント(ガッタパーチャポイント,モリタ)を用いた単一ポイント法.S-F 群:S 群の根管充填法に加えて,ポリプロピレン製のポイント(フレックスポイント「ネオ」,ネオ製薬工業株式会社)を用いた単一ポイント法.S-T 群:S 群と同様に根管壁処理した後に,根管壁をセルフエッチングプライマー(ティースプライマー,サンメディカル)で処理した後に S 群の根管充填法を行った.S-T-F 群:ST 群の根管充填法に加えて,フレックスポイントを用いた単一ポイント法で行った.M 群:ポイントを用いずにメタクリル酸エステル系シーラー(メタシール Soft,サンメディカル)のみで根管充填.M-G 群:M 群の根管充填法に加えて,ガッタパーチャポイントを用いた単一ポイント法.M-F 群:M 群の根管充填法に加えて,フレックスポイント用いた単一ポイント法.C 群:根管充填しなかった.S 群と S-G 群 S-F 群、S-F-T 群では 10%クエン酸3%塩化第二鉄溶液(表面処理材グリーン,サンメディカル)を根管内に満たした.10 秒後に水洗し,乾燥させた後にスーパーボンド混和ラジオペーク(サンメディカル)を根管内へ充填した.また S-T 群、S-F-T 群では根管壁の表面処理剤グリーンで 10 秒処理,水洗乾燥してにティースプライマー(サンメディカル)で根管内を満たし,20 秒後にエアーブローし,スーパーボンドをシリンジで充填した.またフレックスポイントは#60 の先端を切断し#80 として,ノルマルヘプタン(PPX プライマー,セメダイン)を塗布して使用した.根管充填を行った各歯根は 100 %,37 ℃で 24 時間保管し,プレシソーCL40 を用いて厚さが約 1.0mmとなるように根尖から 1.5mm,3.0mm,4.5mm,6.0mm の位置で歯軸に垂直方向に切断して,1 歯根あたり 4 枚の試料を作製した.各試料は近遠心壁の厚みが約 1.0mm になるようにトリミングした.試料の厚みはデジタルノギス(CD-S15C,ミツトヨ)を用いて計測し,トリミングした根管の近遠心壁の厚みは光学顕微鏡で撮影した画像を用いて,ImageJ1.48(NIH,USA)で計測した.その後,材料試験機(EZ-test,島津)を用いて頬舌側方向に引張試験を行った.引張試験を行った試料は光学顕微鏡を用いて 25 倍で観察した.引張り力が作用する破断部から離れた部位を引張り部,剪断力が生じる破断部周囲を剪断部としてそれぞれについて以下の様に分類した.シーラーの凝集破壊,象牙質とシーラーの界面破壊,象牙質とシーラーの混合破壊,シーラーとポイントの界面破壊,シーラーとポイントの混合破壊,象牙質とシーラー,シーラーとポイントの混合破壊.引張り強さの評価として、破断部の断面積と根管壁全周の面積を合計して,引張り強さを除して算出した値を引張強さとした.またシーラーの厚みを計測し,引張り強さとの関係を解析した.さらに根尖部から 1.5mm,3.0mm,4.5mm,6.0mm それぞれの位置での引張強さを比較した.部統計学的処理はSPSS Ver.23(日本 IBM)を用いて Mann-WhitneyU の検定を行なった.引張試験の結果, S 群,S-F 群,S -T 群,S-T-F 群,M 群,M-F 群は、C 群に対して有意に大きい値を示した(p<0.05).最も高い値を示した S-T 群と S-T-F 群は,他の群に比べて有意差が認められた(p<0.05)が、S-T 群と S-T-F 群の間に有意差は認められなかった(p>0.05).一方、根尖からの距離と引張強さ、シーラーの厚みと引張強さの関係をみると、いずれも引張強さの間に関連性はみられなかった.引張部の破断様式は、メタシール soft を用いた群では、スーパーボンドを用いた 5 群に比べてシーラーの凝集破壊が多く見られた.スーパーボンドを用いた 5 群の中では、ポイントを用いなかった S 群や S-T 群では象牙質とシーラーの界面破壊や混合破壊が多かった、ポイントを併用した S-G 群,S-F 群ではシーラーとポイントの界面破壊や混合破壊、象牙質とシーラー、ポイントの混合破壊が多くなった.剪断部では、ポイント用いなかった S 群、S-T 群、M 群では引張部と類似の判断様式であった。一方、ポイントとスーパーボンドを併用した S-G 群、S-F 群、S-T-F 群ではシーラーとポイントの界面破壊が減少して、象牙質とシーラーの混合破壊が増加した。ポイントとメタシール Soft を併用した場合では、M-G 群はシーラーとポイントの混合破壊が減少して象牙質とシーラーの混合破壊が増加したが、M-F 群では引張部と大きな変化はなかった。これらのことから、スーパーボンドの表面処理材グリーンにティースプライマーを併用することは接着強さを向上させ、スーパーボンドのみで根管を充填する方法と、さらにフレックスポイントを併用する方法が破折抵抗性の向上に効果的である事が示唆された。
Description: この博士論文全文の閲覧方法については、以下のサイトをご参照ください。
Description URI: https://www.lib.hokudai.ac.jp/dissertations/copy-guides/
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第15015号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 歯学
Examination Committee Members: (主査) 教授 菅谷 勉, 教授 吉田 靖弘, 教授 佐野 英彦
Degree Affiliation: 歯学院(口腔医学専攻)
Type: theses (doctoral - abstract of entire text)
URI: http://hdl.handle.net/2115/85958
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 歯学院(Graduate School of Dental Medicine)
学位論文 (Theses) > 博士 (歯学)

Export metadata:

OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

MathJax is now OFF:


 

 - Hokkaido University