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腫瘍溶解ウイルスと5₋FUとの併用効果の検討
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Title: | 腫瘍溶解ウイルスと5₋FUとの併用効果の検討 |
Authors: | 金山, 純一 Browse this author |
Keywords: | dl355 | 5₋FU | HuR | ARE₋mRNA |
Issue Date: | 22-Mar-2018 |
Publisher: | Hokkaido University |
Abstract: | 【背景】化学療法はがんに対する一般的な治療法の一つである.今日,広く用いられている抗がん剤であるシスプラチンや5-FU は,これまでに優れた治療効果をもたらしてきた一方で,治療抵抗性を示すがんに対しては十分な治療効果が得られない.また,高濃度の抗がん剤は治療効果を上げることができるが,様々な副作用を引き起こすリスクも上がるため,副作用による患者のQOL の低下を考慮すると可及的に低濃度での使用が望ましい.そこで,高濃度の抗がん剤と同等の効果を得るために,様々な治療法との併用が行われている.近年,がんに対する新たな治療法として腫瘍溶解ウイルス療法が注目されている.腫瘍溶解ウイルスは正常細胞にほとんど傷害を与えず,がん細胞でより特異的にウイルスが増殖するため,副作用のリスクを低減しつつ高い治療効果が期待できる.我々は,AU-rich element(ARE)を持つmRNA の安定化システムに着目し,ARE-mRNA が安定化されているがん細胞で効果的に増殖できる腫瘍溶解アデノウイルスを抗腫瘍ウイルスとして応用した.本研究では,がん細胞に対する腫瘍溶解アデノウイルスと抗がん剤5-FU との併用療法の効果について検討を行った.【材料と方法】HeLa 細胞を用いて,50%の細胞死が見られる5-FU 濃度を決めた.次に,5-FU 処理により,ARE-mRNA を核外輸送・安定化するRNA 結合タン2パクHuR の細胞質局在をウエスタン法により検討した.さらに,腫瘍溶解アデノウイルス単独,5-FU 単独もしくは両者併用でがん細胞を処理し,XTT アッセイにより細胞死を検討した.【結果】5-FU 存在下で,HuR の細胞質局在の増加が認められ,ARE-mRNA の安定化に寄与する可能性が示唆された.また,腫瘍溶解アデノウイルスあるいは5-FU 単独処理よりも,併用処理の方が,細胞障害性が高かった.【結語】腫瘍溶解アデノウイルスは5-FU と併用することにより,より高い腫瘍細胞溶解効果を持つことが示された.この理由として,5-FU 処理によって,HuR が細胞質に核外輸送され,ARE-mRNA が安定化され,腫瘍溶解アデノウイルスがより増殖したことが考えられる.以上より,腫瘍溶解アデノウイルスと5-FU との併用療法は有効ながん治療法になりうると思われる. |
Conffering University: | 北海道大学 |
Degree Report Number: | 甲第13055号 |
Degree Level: | 博士 |
Degree Discipline: | 歯学 |
Examination Committee Members: | (主査) 教授 北川 善政, 准教授 東野 史裕, 教授 鄭 漢忠 |
Degree Affiliation: | 歯学研究科(口腔医学専攻) |
Type: | theses (doctoral) |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/89184 |
Appears in Collections: | 課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 歯学院(Graduate School of Dental Medicine) 学位論文 (Theses) > 博士 (歯学)
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