HUSCAP logo Hokkaido Univ. logo

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers >
Theses >
博士 (生命科学) >

Analysis of ubiquitin signaling and membrane traffic regulation in plant C/N-nutrient responses

Files in This Item:
Yoko_Hasegawa.pdf3.77 MBPDFView/Open
Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k14832
Related Items in HUSCAP:

Title: Analysis of ubiquitin signaling and membrane traffic regulation in plant C/N-nutrient responses
Other Titles: 植物のC/N 栄養応答におけるユビキチンシグナルと膜交通制御の解析
Authors: 長谷川, 陽子1 Browse this author
Authors(alt): Hasegawa, Yoko1
Issue Date: 24-Mar-2022
Publisher: Hokkaido University
Abstract: ユビキチン化は,ユビキチンという76アミノ酸残基から成る小さなタンパク質の付加による,可逆的な翻訳後修飾の一種である。ユビキチン化は,当初 “ATPを利用するエネルギー依存的なタンパク質の分解機構” として発見されたが,後に分解のみならず,様々なシグナルとして機能することが明らかとなった。ユビキチン化には,標的のリジン残基に対してユビキチン1分子が結合するモノユビキチン化と,複数のユビキチン分子が鎖を形成するポリユビキチン化がある。ユビキチン分子自身には,7箇所のリジン残基とN末端のメチオニン残基の,合計8箇所のユビキチン結合サイトが存在するため,ポリユビキチン化には様々なタイプがある。例えば,48番目や11番目のリジン残基を介してユビキチンが結合したK48鎖やK11鎖による修飾はプロテアソーム分解の標識となるのに対して,63番目のリジン残基を介したK63鎖は,DNA修復やエンドサイトーシスなど,多様なシグナルとして働く。様々な文脈で重要な役割を担うユビキチン化であるが,この修飾を触媒するのが,ユビキチンリガーゼと呼ばれる酵素である。 シロイヌナズナゲノムには1000を超えるユビキチンリガーゼがコードされており,それらが特異的な標的の制御を介して多様な生理機能に関わることが報告されてきた。当研究室では,シロイヌナズナの膜貫通型ユビキチンリガーゼATL31を栄養応答の重要な制御因子として同定し,解析を進めていた。栄養の中でも,炭素(C)と窒素(N)は代謝の根幹を成す因子であり,その相対量が植物の生育に影響を与える。例えば,炭素が多く窒素が少ない条件は植物にとってストレスとなり,発芽後成長の抑制や,老化の促進が起きる。ATL31の過剰発現体は高C/低N栄養ストレスに対して非感受性を示し,機能欠損変異体は高感受性を示す。先行研究により,ATL31は14-3-3タンパク質をユビキチン化して分解に導くことで,高C/低N栄養ストレス条件における植物の生育を可能にしていることが分かっていた。しかし,ATL31の細胞内における局在パターンや輸送制御については未解明であった。そこで,本研究では,ATL31の局在制御に着目し,植物のC/N栄養応答制御機構の解明を目指して解析を開始した。 まず初めに,共焦点顕微鏡を用いた細胞内局在解析により,ATL31がトランスゴルジ網/初期エンドソーム (TGN/EE) と細胞膜との間を行き来し,液胞へと輸送されて分解されることを明らかにした。さらに,生化学的な解析により,ATL31の相互作用因子としてSYNTAXIN OF PLANTS 61 (SYP61) という,TGN/EE局在型のSNAREタンパク質(Soluble N-ethylmaleimide sensitive factor attachment protein receptor)を同定した。SNAREタンパク質は,輸送小胞と標的膜の間でSNARE複合体を形成することで膜融合を実行する,膜交通の制御因子である。syp61機能抑制変異体では,ATL31が異常な局在パターンを示したことから,ATL31の正常な局在制御には,SYP61を必要とすることが分かった。このsyp61機能抑制変異体は,高C/低N栄養ストレスに対して高感受性を示し,ATL31過剰発現によるストレス耐性を抑制したことから,SYP61によるATL31の正常な局在制御が,ATL31を介した高C/低N栄養応答に必要であると考えられる。一方で,リコンビナントタンパク質を用いたin vitroアッセイと,植物体における一過的な共発現系から,ATL31がSYP61をユビキチン化できることが分かった。さらに,K63鎖を含むSYP61のユビキチン化は,低C/高N栄養条件誘導的に一過的に促進されることが明らかとなった。この低C/高N栄養条件誘導的なSYP61のユビキチン化は,ATL31過剰発現体において増強されたが,一方でatl31とそのホモログatl6の多重機能欠損変異体背景では減少しなかった。このことから,ATL31はSYP61をユビキチン化できるが,ATL31の他にもこの修飾を行うユビキチンリガーゼが存在することが分かった。ユビキチンK63鎖はエンドサイトーシスのシグナルとなることが知られており,SYP61は細胞膜にも観察されることから,ユビキチン化がSYP61の細胞膜からの取り込み促進に寄与する可能性について検証した。その結果,SYP61の細胞膜局在は,低C/高N条件では減少したものの,ATL31過剰発現による影響は見られなかった。このことから,少なくともATL31によるSYP61のユビキチン化は,エンドサイトーシスのシグナルにはならないと考えられる。酵母や動物においては,SNAREタンパク質のユビキチン化が,プロテアソーム分解や液胞分解などの他,分解ではない局在制御のシグナルになる例や,SNARE複合体形成の制御に関わる例などが,近年いくつか報告されてきている。一方,植物では,ユビキチン化タンパク質の網羅解析において,細胞膜局在型のSNAREタンパク質が検出されたという報告に留まっていた。SYP61ユビキチン化の下流については,今後の詳細な解析が必要だが,本研究の結果から,植物の栄養応答において,SNAREタンパク質がユビキチン化による機能制御を受けることが示唆された。 以上のように,本研究によって,植物のC/N栄養応答においてSNAREタンパク質が重要な役割を果たすことが明らかとなったことに加え,植物の栄養応答における,SNAREタンパク質のユビキチン修飾を介した制御という新たな可能性が示された。
Ubiquitination is a post translational modification with reversible attachment of the small protein ubiquitin, which is involved in numerous cellular processes including membrane trafficking of cargo proteins. However, ubiquitination of the trafficking machinery components and their involvement in environmental responses remains elusive. Here, I demonstrated Arabidopsis trans Golgi network/early endosome (TGN/EE) localized soluble N ethylmaleimide sensitive factor attachment protein receptor (SNARE) protein SYP61 as a novel interactor of a transmembrane ubiquitin ligase ATL31, which was previously reported as a key regulator of the stress resistance to disrupted carbon (C)/nitrogen ( nutrient conditions. SYP61 is a key component of membrane trafficking in Arabidopsis. The subcellular localization of ATL31 was disrupted in the knockdown mutants of SYP61, and the high C/low N stress insensitivity of the ATL31 overexpressor was repressed in these mutants, suggesting their cooperative function in plant responses to nutrients. I also demonstrated SYP61 is ubiquitinated in plants, and the ubiquitination level was up regulated in low C/high N nutrient conditions. Our results provided new insights into the ubiquitin signaling and membrane traffic machinery in plant physiology.
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第14832号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 生命科学
Examination Committee Members: (主査) 准教授 佐藤 長緒, 教授 山口 淳二, 教授 田中 一馬, 教授 藤田 知道, 助教 高木 純平
Degree Affiliation: 生命科学院(生命科学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/89192
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 生命科学院(Graduate School of Life Science)
学位論文 (Theses) > 博士 (生命科学)

Export metadata:

OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

MathJax is now OFF:


 

 - Hokkaido University