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音響機器の特性を利用した情報ハイディングの研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k15549
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Title: 音響機器の特性を利用した情報ハイディングの研究
Other Titles: A Study on Information Hiding Using Characteristics of Acoustic Equipment
Authors: 松永, 悠斗 Browse this author
Issue Date: 23-Mar-2023
Publisher: Hokkaido University
Abstract: デジタルコンテンツに対する著作権保護の手法として,情報ハイディング技術が注目されている.情報ハイディングとは,任意の秘匿情報をデジタルコンテンツそのものに対して埋め込み,任意のユーザがこれを自由に検出できるような技術である.デジタルコンテンツの中でも楽曲に関する,著作権保護のための情報ハイディングは,埋め込みによるコンテンツの品質を損なわない点とファイルのフォーマット変換やコンテンツの編集が行われた場合でも秘匿情報が消えない点が求められる.楽曲に対する情報ハイディングでは,アーティストやレコード会社にとって自身の作品に加工が加えられるという心理的抵抗感が高いことが知られており,この品質劣化を最小限に抑えるという点が重要な問題となる.近年の情報ハイディングの研究は,秘匿情報を用いて生成した信号がデジタルコンテンツの一部として成立するようなアプローチの研究が行われており,これによりコンテンツの品質劣化の問題を避けることが可能となる.本研究では,このアプローチに基づいて,音響信号合成技術や音響効果処理技術を利用した情報ハイディング手法を提案する.音響信号合成技術を利用した情報ハイディング手法として,打楽器音信号の合成による情報ハイディング手法を提案した.この手法では,打楽器音信号の合成にノイズ信号が用いられていることを利用し,秘匿情報によってノイズ信号の符号を操作することで埋め込みを行う.埋め込み後の楽曲信号とこのノイズ信号との相関関数を計算することでピークが検出され,秘匿情報の検出が可能となる.この手法の攻撃耐性を定量評価実験により評価した結果,MP3符号化へは高い攻撃耐性が確認されたが,ピッチ変更のような攻撃ではノイズ信号の符号情報が大きく変わってしまうため,攻撃耐性が低いことが確認された.音響効果処理技術を利用した情報ハイディング手法として,音響歪み効果による情報ハイディング手法を提案した.この手法では,音響歪み効果の発生に用いられるクリッピング処理を利用して,秘匿情報によって歪み効果をかけた信号の振幅値に偏りが出るようにクリッピング処理を操作することで埋め込みを行う.埋め込み後の楽曲データに対して,平均値を計算することで,その符号から秘匿情報の検出が可能となる.この手法の音響歪み効果としての自然さを主観評価実験によって評価した結果,自然な音響歪み効果であることが確認された.また,この手法の攻撃耐性を定量評価実験により評価した結果,MP3符号化や再生速度の変更,ピッチ変更といった様々な攻撃に対して高い攻撃耐性が確認された.しかし,High Pass Filter による周波数フィルタの攻撃に対して攻撃耐性が低いことが確認された.この問題点を改善するために,波形のエンベロープを用いて補正をかけたところ,検出精度の改善が確認され,攻撃耐性を高めることに成功した.様々な音楽ジャンルに対して本手法を適用するために,更なる検出精度の改善が求められる.そのため,機械学習を用いた 2 値分類による秘匿情報の検出を行うことで,検出精度の改善を可能とした手法を提供した.この手法では,畳み込みニューラルネットワークから構成される学習モデルを用いて秘匿情報の検出を行うことで,弱い埋め込みの場合でもビット誤り率を 10% 以下に抑えることができ,実用にも耐えうると考えられる.本研究と同様のアプローチによる,楽曲データに対する情報ハイディングの関連研究では,ピッチ変更や周波数フィルタ攻撃といった攻撃に対して攻撃耐性を持っていなかった.本研究の音響歪み効果による情報ハイディング手法は,これまでの実験から,関連研究では達成できなかったピッチ変更や周波数フィルタ攻撃といった攻撃に対しても耐性を持っていることが確認できた.関連研究では,既に一つの楽曲として完成されたデータに対して埋め込みを行うため,情報ハイディングの利用者,すなわちアーティストやレコード会社にとっての心理的抵抗の問題に取り組んだ手法とは言い難い.しかし,本研究の手法では,楽曲作成時の音響機器の一つとして用いられることを想定しており,主観評価実験からも秘匿情報の有無やその内容に関わらず自然な音響歪み効果であると言えるこの心理的抵抗を緩和している手法と言える.これらのことから,攻撃耐性,利用者への心理的抵抗といった点で関連研究より優れた手法であると考えられる.
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第15549号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 情報科学
Examination Committee Members: (主査) 教授 土橋 宜典, 教授 坂本 雄児, 教授 長谷山 美紀, 特任教授 荒木 健治
Degree Affiliation: 情報科学院(情報科学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/89509
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 情報科学院(Graduate School of Information Science and Technology)
学位論文 (Theses) > 博士 (情報科学)

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