HUSCAP logo Hokkaido Univ. logo

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers >
Theses >
博士 (感染症学) >

Development of highly efficient methods for comprehensive pathogen detection using next generation sequencing

Files in This Item:
Patrick_Reteng.pdf5.76 MBPDFView/Open
Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k15524
Related Items in HUSCAP:

Title: Development of highly efficient methods for comprehensive pathogen detection using next generation sequencing
Other Titles: 次世代シーケンサーを用いた高効率網羅的病原体検出法の開発
Authors: Reteng, Patrick Browse this author
Issue Date: 23-Mar-2023
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 感染による発熱性疾患は、臨床症状が非特異的である場合が多く、また、病因となりうる病原体も多岐にわたることから、その原因特定は容易ではない。従って多くの場合、医療従事者の専門知識や経験に依存して、数種類の最も蓋然性の高い病原体に限定した検査が行われているのが実情である。この方法は感染者数の多い主要な病原体に対しては有効だが、そうではない病原体を見逃してしまう危険性がある。それらは、個々の患者数が少ないとしても、それを引き起こす病原体が多数存在することから、全体として、かなりの部分が診断されないままになっていると考えられている。それらを特定するアプローチとして、近年、次世代シーケンサー(NGS)を応用したmetagenomic NGS(mNGS)の臨床応用が進みつつある。これまでの研究では、mNGSによる病原体ゲノムの網羅的検出により、従来の手法に比べてより多くの病原体を検出できることが示されている。しかしながら、現状では、コストや手技の煩雑さから、従来の診療を補完するもの、あるいは診断が困難な特定の感染症に限定して用いられており、標準的な診断方法として利用されるには至っていない。一方、NGS分野における技術開発が近年加速しており、mNGS実用化へ向けた追い風となっている。Ilumina社が提供するプラットフォームは、高精度を特徴とするショートリードをハイスループットに出力するのに対し、Oxford nanoporetechnologies社のプラットフォームは、精度には劣るものの、デバイスが安価かつ持ち運び可能で、ロングリードを出力できることもあり、開発途上国等のリソースの限られた環境下でより多くの支持を得ている。さらに、弱点とされる精度の向上も報告されている。mNGSによる病原体診断の社会実装には、解析に係る高額な費用と複雑で時間を要するライブラリ調製が妨げになっている。そこで本研究では、これらの問題の解決に資する代替方法の開発を行った。  第1章では、熱性疾患の原因としてよく知られているフラビウイルスをモデルに、同一の属や科に属するウイルスを網羅的に検出するための方法を開発した。具体的にはフラビウイルス属のNS5遺伝子の保存領域をPCRにより増幅し、nanoporeシーケンサーで解析することにより、同属ウイルスの網羅的な同定を実現した。さらに、PCRプライマーにインデックス配列を付与することで、マルチプレックス解析によるシーケンスランあたりのコスト削減が可能なことを実証した。本技術は、リソースが限られた環境での中・大規模なスクリーニングや診断に利用することが期待される。  第2章では、RNAome増幅法の開発と検証を行った。RNAomeは、RNAウイルスのゲノムと、DNAウイルスを含むウイルスの転写産物を含んでおり、理論上、mNGSを用いることで全てのウイルスを検出可能である。しかしながら、微量なRNAを検出するためには、NGS解析の前に網羅的な増幅を行う必要があるため、簡便かつ偏りの少ないRNA増幅法の開発が求められていた。そこで本研究では、cDNAを一本鎖DNA特異的なligaseにより環状化した後、phi29で増幅するcircular whole-transcriptome amplification (cWTA)の開発に成功した。本法により実験的に増幅したウイルスの検出が可能なことも示され、臨床サンプルからDENV2とCHIKVを検出することにも成功した。実施が比較的容易なcWTAと可搬的なnanopore型NGSを組み合わせることで、ゲノム配列に基づく網羅的な感染症診断が、辺境地域でも実施可能になることが期待される。  第3章では、mNGSによる網羅的な病原体検出をより効率的に行うためのライブラリー調整法の開発を行った。本研究では、グループテストアルゴリズムと呼ばれるプーリング方法を採用し、mNGSと組み合わせた。本法を用いることで、2^n個のサンプルに対するライブラリの数を、サンプル情報を保持したまま2n個のライブラリに削減し、そこに含まれる病原体を網羅的に検出することができる。実証試験として、発熱患者から採取した44の臨床血清試料を11のライブラリにプールし検証を行った。その結果,これらのサンプルから、事前情報を用いることなくウイルス配列(DENV2,HBV,ヒトパルボウイルスB19)を検出することに成功した。第2章でのアプローチと比較すると、本アプローチは大規模検体の一括解析に適し、より高出力のNGSプラットフォームを必要とするため、中央研究所でより適用しやすいと思われる。 以上、中央研究所だけでなく、小規模研究室や辺境地域等、状況に応じたmNGSによる網羅的病原体解析を実施可能とする種々のライブラリー調整方法の開発に成功し、mNGSによる網羅的病原体解析の社会実装を妨げるコストに関する課題を解決する道筋が示された。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第15524号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 感染症学
Examination Committee Members: (主査) 教授 澤 洋文, 教授 野中 成晃, 准教授 山岸 潤也, 助教 林田 京子
Degree Affiliation: 国際感染症学院(感染症学専攻)
(Relation)haspart: Reteng P, Nguyen Thuy L, Tran Thi Minh T, Mares-Guia MAMM, Torres MC, de Filippis AMB, Orba Y, Kobayashi S, Hayashida K, Sawa H, Hall WW, Nguyen Thi LA, Yamagishi J. A targeted approach with nanopore sequencing for the universal detection and identification of flaviviruses. Sci Rep. 2021;11(1):19031.
Reteng P, Nguyen Thuy L, Rahman M, de Filippis AMB, Hayashida K, Sugi T, Gonzalez G, Hall WW, Nguyen Thi LA, Yamagishi J. Circular whole-transcriptome amplification (cWTA) and mNGS screening enhanced by a group testing algorithm (mEGA) enable high-throughput and comprehensive virus identification. mSphere. 2022;7(5):e0033222.
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/90008
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 国際感染症学院(Graduate School of Infectious Diseases)
学位論文 (Theses) > 博士 (感染症学)

Export metadata:

OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

MathJax is now OFF:


 

 - Hokkaido University