HUSCAP logo Hokkaido Univ. logo

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers >
Theses >
博士 (獣医学) >

Studies on the mosquito-borne flavivirus serology useful for diagnosis of flavivirus infections

Files in This Item:
Koshiro_Tabata.pdf5.69 MBPDFView/Open
Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k15521
Related Items in HUSCAP:

Title: Studies on the mosquito-borne flavivirus serology useful for diagnosis of flavivirus infections
Other Titles: 蚊媒介性フラビウイルス感染症の新規血清診断法の確立に向けた研究
Authors: 田畑, 耕史郎1 Browse this author
Authors(alt): Tabata, Koshiro1
Issue Date: 23-Mar-2023
Publisher: Hokkaido University
Abstract:   病原性蚊媒介性フラビウイルス(MBFV)は、異なるウイルス種間で構造タンパク質のアミノ酸配列が高度に保存されている。そのため、これらの構造タンパク質を認識する抗体は、交差反応性を示す。その交差反応性抗体は、幅広いフラビウイルスの構造タンパク質に結合するため、ウイルス種特異的な抗体を検出可能な血清診断法は未だ開発されていない。本研究では、これまで報告されてきたMBFV間ではなく、MBFVと昆虫特異的フラビウイルス(ISFV)間の抗原性を比較し、異なる抗原性を有するウイルスアミノ酸配列を用いて、交差反応性抗体の非特異的な結合を低減させるウイルス抗原作出を試みた。 第一章 MBFV と比較したlineage II ISFV の血清学的性状解析   第一章では、分子系統学的にMBFVに近縁なlineage II ISFVの構造タンパク質の抗原性をMBFVの構造タンパク質と比較した。まず、系統樹解析を実施した結果、lineage II ISFVはlineage IIa ISFVとlineage IIb ISFVにクラスターが別れることが明らかになった。そこで、これら二種類のlineage II ISFVの抗原性をそれぞれのウイルスに対する抗血清を用いて評価した。これまでに所属研究室で分離してきたlineage IIa ISFVであるPSFVとlineage IIb ISFVであるBJVをマウスに免疫することにより、抗血清を作出した。それらの抗血清は一部のMBFV(DENV:デングウイルス、ZIKV:ジカウイルス、JEV:日本脳炎ウイルスおよびWNV:ウエストナイルウイルス)の感染細胞抗原に対し結合活性を示し、更に、それらの抗体は、フラビウイルス感染症で問題となっている抗体依存性感染増強(ADE)活性をそれぞれのMBFVに対して有していることを示した。また、PSFV及びBJVに対する抗血清間で、MBFVのADE活性が異なることも明らかにした。本結果から、lineage IIa ISFVとlineage IIb ISFVでは、抗原性が異なることが示唆され、lineage IIa ISFVであるPSFVとlineage IIb ISFVであるBJVがMBFV(DENV、ZIKV、JEV及びWNV)と類似した抗原性の構造タンパク質を有していることを示した。本結果により、MBFV感染歴のある患者が、ISFV感染蚊に吸血されることにより、MBFVに対する抗体が再活性化され、更にその抗体がADEを誘導する可能性が示唆された。しかしながら、ISFVが感染した蚊の吸血により吸血対象へウイルスが導入されるかについては不明であるため今後、更なる研究が必要である。 第二章 フラビウイルス種特異的な抗体の検出及び誘導を可能にするウイルスタンパク質デザイン   第二章では、MBFV、lineage II ISFV及びlineage I ISFVのfusion loop(FL)ドメインの抗原性を利用した交差反応を低減させるウイルスタンパク質の創出を試みた。FLドメインは、異なるフラビウイルス種間で高度に保存されており、抗FL抗体は幅広いフラビウイルスで交差反応することが報告されている。本研究では、lineage I ISFVのFLドメインはMBFVやlineage II ISFVと異なる抗原性を有することを明らかにした。更に、lineage I ISFVのFLドメインの一部を搭載したMBFV(DENV、ZIKV、JEV及びWNV)の変異型ウイルス様粒子(SVP)を作出し、その変異型SVPへのフラビウイルス感染血清の交差反応性と、その免疫により誘導される抗体の交差反応性を評価した。その結果、野生型SVPと比較して、変異型SVPではフラビウイルス感染血清(同ウイルス種・株)の交差反応性を低減させ、ウイルス種特異的な結合シグナルを検出できた。また、チャレンジフラビウイルス(同ウイルス種・異なるウイルス株)の感染血清においても、強いウイルス種特異的な結合シグナルを検出することができた。さらに、変異型SVPを免疫した血清において、交差反応性が低下し、ADE活性が抑制された抗体が誘導され、それらの抗体は中和活性を有することを示した。本成果は、変異型SVPをELISA抗原として用いることにより、交差反応性抗体の非特異的な結合を減少させ、ウイルス特異的な抗体が検出できる血清診断法への応用可能性を示した。更に、変異型SVP免疫血清では、野生型SVPと比べ劇的にADE活性が抑制され、一部に中和活性が認められた。以上の結果から、変異型SVPは新規フラビウイルスワクチン抗原の候補になり得ることが期待される。しかしながら、交差反応エピトープはFLドメイン以外にも存在する。そのため、今後、更なる交差エピトープを抗原性が異なるlineage I ISFVに置換することにより、血清診断法及びワクチン開発に応用可能なウイルス抗原の作出を目指す。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第15521号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 獣医学
Examination Committee Members: (主査) 特任教授 大橋 和彦, 教授 好井 健太朗 (長崎大学), 教授 澤 洋文, 准教授 大場 靖子
Degree Affiliation: 国際感染症学院(感染症学専攻)
(Relation)haspart: Tabata K, Itakura Y, Toba S, Uemura K, Kishimoto M, Sasaki M, Harrison JJ, Sato A, Hall WW, Hall RA, Sawa H, Orba Y (2022) Serological characterization of lineage II insect-specific flaviviruses compared with pathogenic mosquito-borne flaviviruses. Biochem Biophys Res Commun 616:115-121
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/91562
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 国際感染症学院(Graduate School of Infectious Diseases)
学位論文 (Theses) > 博士 (獣医学)

Export metadata:

OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

MathJax is now OFF:


 

 - Hokkaido University