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一般歯科医院に定期的に通院している高齢患者の口腔機能の低下とBody Mass Indexおよびサルコペニアの関係
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Title: | 一般歯科医院に定期的に通院している高齢患者の口腔機能の低下とBody Mass Indexおよびサルコペニアの関係 |
Other Titles: | Relationship between Body Mass Index and sarcopenia on deterioration of oral function in elderly patients by regular outpatient on general dental clinic |
Authors: | 松下, 祐也 Browse this author |
Keywords: | 嚥下機能 | サルコペニア | 舌圧 | 舌口唇運動機能 | BMI |
Issue Date: | 23-Mar-2023 |
Publisher: | Hokkaido University |
Abstract: | 目的:日本人の食事摂取基準(2020年版)では、65歳以上の高齢者においてBMI(Body Mass Index)21.5kg/m2未満を低栄養とした。低栄養は健康障害に直結し、サルコペニアのリスク因子とされている。サルコペニアの予防は健康寿命の延伸、QOLの維持向上に不可欠とされている。嚥下関連筋のサルコペニアはサルコペニアの嚥下障害とされ、そのリスク因子の一つに低栄養が挙げられている。高齢患者の口腔機能の低下とサルコペニアの関連はいくつかの先行研究がある。しかし、低栄養(低BMI)を考慮したうえで、高齢患者の口腔機能の低下とサルコペニアとの関係を検討した報告はない。我々は、低BMIとサルコペニアの併存は口腔機能の低下とより強く関連するとの仮説を立てた。そこで、本研究では一般歯科医院に定期的に通院している高齢患者を対象に、口腔機能の低下とBMIおよびサルコペニアとの関係を検討することを目的とした。方法:本研究は一般歯科医院の65歳以上の外来高齢患者を対象とした横断研究である。研究参加者に対し、口腔機能精密検査、AWGS2019基準によるサルコペニアおよびBMIの評価を行った。健常群、適正・高BMI+サルコペニア群、低BMI+サルコペニア群の3群の比較と、これら3群を従属変数とした多項ロジスティック回帰分析を行った。さらに共分散構造分析法を用いて、推定パス図(パスモデル)を作成し、各項目の観測変数の因果関係と相関関係を調べた。結果:本研究期間の参加者は331名で、除外基準に該当した者を除いた290名を分析対象者(男性47.9%、平均年齢75.1±6.4歳)とした。口腔機能精密検査の結果、低咬合力(154名、53.1%)、舌口唇運動機能低下(189名、65.2%)、低舌圧(145名、50.0%)が認められた。多項ロジスティック回帰分析の結果、健常群を基準とした場合、適正・高BMI+サルコペニア群では、残存歯数(Odds Ratio:OR;0.93、95%Confidence Intervals:95%CI;0.89-0.98)、舌圧(OR;0.92、95%CI;0.86-0.98)が有意に関連していた。低BMI+サルコペニア群は、舌口唇運動機能検査[ka]音(OR;0.67、95%CI;0.45-0.98)、舌圧(OR;0.91、95%CI;0.86-0.96)、嚥下機能(OR;3.05、95%CI;1.36-6.84)、口腔機能低下症の有無(OR;2.75、95%CI;1.10-6.88)、口腔機能低下該当項目数(OR;1.69、95%CI;1.22-2.34)が有意に関連していた。共分散構造分析の結果は、舌口唇運動機能[ka]音の低下は低舌圧と、低舌圧はサルコペニアと、サルコペニアは低BMIと嚥下機能の低下と関連していた。また、嚥下機能の低下は低BMIと関連していた。考察:低BMI+サルコペニア群は健常群、適正・高BMI+サルコペニア群と比べて、多くの口腔機能の低下と関連していた。特に適正・高BMI+サルコペニア群では認められなかった嚥下機能の低下と有意な関連を認めた。これはサルコペニアと低栄養を併発した患者は嚥下機能の低下も生じている可能性を示唆している。一般歯科医院における口腔機能精密検査で舌口唇運動機能検査(特に[ka]音)と低舌圧が認められ、低BMIである患者は、サルコペニアと嚥下機能の低下がある可能性を考慮する必要がある。そのような患者に対しては歯科医院で定期的な口腔機能精密検査に加え、嚥下機能の評価、体重測定を含む、食事栄養評価を行い、悪化がみられるようであれば速やかに専門医療機関と連携する必要がある。結論:結論として口腔機能の低下と低BMIが合併している場合は、サルコペニアと嚥下機能の低下を併発している可能性が示唆された。一般歯科医院において口腔機能評価と体重測定による低BMIを評価することで、サルコペニアと嚥下機能の低下の存在を予知し、早期に適切な対応をとることができるかもしれない。これら対応によって口腔の健康の維持と、健康寿命の延伸、QOLの向上が期待される。 |
Conffering University: | 北海道大学 |
Degree Report Number: | 甲第15494号 |
Degree Level: | 博士 |
Degree Discipline: | 歯学 |
Examination Committee Members: | (主査) 教授 山崎 裕, 教授 北川 善政, 教授 横山 敦郎, 准教授 渡邊 裕 |
Degree Affiliation: | 歯学院(口腔医学専攻) |
Type: | theses (doctoral) |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/91587 |
Appears in Collections: | 課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 歯学院(Graduate School of Dental Medicine) 学位論文 (Theses) > 博士 (歯学)
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