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Magnetotelluric 法探査による火山の比抵抗構造研究 : マグマ供給系と浅部熱水系のイメージング

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k15282
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Title: Magnetotelluric 法探査による火山の比抵抗構造研究 : マグマ供給系と浅部熱水系のイメージング
Other Titles: Study on the electrical resistivity structure of volcanoes based on magnetotellurics : Imaging the magmatic and hydrothermal systems
Authors: 井上, 智裕 Browse this author
Issue Date: 23-Mar-2023
Publisher: Hokkaido University
Abstract: ⽕⼭のマグマ供給系・熱⽔系は,⽕⼭活動に強い影響を与えており,これらの理解を深めることは⽕⼭学の重要な課題のひとつである.⽕⼭活動に伴って異常現象が観測されると,震源や⼒源などのモデルが提⽰されるが,その際にマグマ供給系や熱⽔系が地下構造の描像として与えられていれば,現象間の関係性が理解しやすくなり,活動予測にも貢献できる.⼀般に,マグマ供給系や浅部熱⽔系は導電性の流体を含むため,それらは低⽐抵抗異常を⽰すことが多い.そこで本研究では,Magnetotelluric(MT)法探査によるマグマ供給系と浅部熱⽔系のイメージングを念頭に,北海道内の活動的⽕⼭である雌阿寒岳と有珠⼭を対象として3次元⽐抵抗構造の解明に取り組んだ.低⽐抵抗異常の実態を考察する際に,⽕⼭で想定される媒質の候補から可能性を絞り込むための,系統的な解釈フローを作成した上で,各フィールドに適⽤した.雌阿寒岳では,主に北海道⼤学や気象庁による地球物理学的モニタリング観測が⾏われてきたが,地下構造の先⾏研究は⽐較的浅部に限られており,マグマ供給系や熱⽔系の全体像はよく分かっていない.そこで,本研究では新規に展開したMT 法探査に加えて先⾏研究のMT データも併⽤し,⼭体スケールの3次元⽐抵抗構造を推定した.最も顕著な特徴は,雌阿寒岳の⻄⽅深部から⽕⼝域に向かう傾いた柱状の低⽐抵抗異常である.検討の結果,この低⽐抵抗異常はマグマまたはマグマ性流体の⽕道である可能性が⽰された.⽕⼝の浅部では,この⽕道から供給される熱や流体によって熱⽔だまりや熱⽔変質帯が形成されていると解釈した.本研究では,雌阿寒岳と同様,北海道内の活動的⽕⼭の中で3次元⽐抵抗構造がまだ明らかにされていない有珠⼭でもMT 法探査を⾏った.現状での探査範囲は⼭頂⽕⼝原に限られているが,3次元インバージョンによるモデリングの結果,銀沼⽕⼝から⼩有珠周辺下の海⽔準下約500 m 付近に低⽐抵抗異常が⾒出された.上述の低⽐抵抗異常解釈フローに従って検討した結果,この低⽐抵抗異常は有珠⼭浅部の熱⽔系に対応する可能性が⾼いと判断された.現在準定常的に発⽣している微⼩地震は,この低⽐抵抗域の縁に分布していることから,熱⽔の存在が⼭頂の地震活動に寄与している可能性が考えられる.さらに本研究では,MT インピーダンスの⾮対⾓成分が,特に⻑周期で通常の範囲(0~90º)から逸脱する異常な位相(phases out-of-quadrant:POQ)を⽰す現象についても考察を掘り下げた.このPOQ は,単純な構造では説明が困難であるため⻑らくモデリングの障害となってきた.媒質異⽅性や特異な良導体の形状などでPOQ を説明した先⾏研究はいくつかあるものの,他にもPOQ を伴うモデルが存在する可能性は残っている.本研究でも雌阿寒岳のMT データにPOQ が含まれていたため構造推定は必ずしも容易ではなかったが,様々な条件を試した結果,地下深部から雌阿寒岳に向かって伸びる傾いた柱状の低⽐抵抗体を含むモデルがPOQ をよく説明できることを発⾒した.さらに,Syntheticモデルによるフォワード計算でPOQ の発現条件を系統的に検討した結果,傾いた低⽐抵抗柱の傾斜⾓や⻑さがPOQ の出現に影響することを明らかにした.本研究により,⽕⼭地域のMT 法探査において,⽕道やその先にあるマグマだまりの位置の推定にPOQ が有⽤な⼿がかりとなり得ることが⽰された.本研究で得られた3次元⽐抵抗構造は,雌阿寒岳や有珠⼭においてモニタリング観測が捉える異常現象の解釈や,噴⽕ポテンシャル評価にも有益だと考えられる.
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第15282号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 理学
Examination Committee Members: (主査) 教授 橋本 武志, 教授 青山 裕, 教授 高橋 浩晃, 教授 栗谷 豪, 助教 田中 良
Degree Affiliation: 理学院(自然史科学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/91624
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 理学院(Graduate School of Science)
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