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超高磁場生成を指向した無絶縁高温超電導磁石の熱的安定性評価・向上に関する研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k16024
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Title: 超高磁場生成を指向した無絶縁高温超電導磁石の熱的安定性評価・向上に関する研究
Other Titles: A Study on Thermal Stability Evaluation and Improvement of No-Insulation High-Temperature Superconducting Coils towards Ultra-High Field Generation
Authors: 間藤, 昂允 Browse this author
Keywords: REBCO
無絶縁巻き
超高磁場磁石
熱的安定性
体系的比較
接触抵抗値測定
軸方向移動
o-insulation winding
ultra-high field magnet
thermal stability
systematical comparison
contact resistance measurement
axial-directional movement
Issue Date: 25-Mar-2024
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 超電導磁石は単に磁場を生成する電気機器であるにもかかわらず,その応用先は非常に多岐にわたる.医療,創薬,高エネルギー物理学,エネルギーシステムなど枚挙にいとまがない.超電導磁石をさらに高磁場化することで応用機器性能が向上する.測定分解能の向上による創薬開発の加速や機器サイズの低減,核融合反応に必要なプラズマの高密度化など従来の常電導磁石ではできないことが実現できるようになる.超電導磁石のさらなる高磁場化が社会的に求められている.そのような中,1987 年に発見された EBCO(Rare-Earth Barium Copper Oxide) 超電導体が期待を集めてきた.REBCO 線材は非常に高い臨界温度,臨界磁場,機械的強度を有する.さらに製造技術の向上に伴い,REBCO 線材の特性は上がり続けている.現状,超高磁場応用を見据えた時に他の候補はない.理化学研究所や米国の Massachusetts Instituteof Technology (MIT),National High Magnetic Field Laboratory (NHMFL),フランスのLaboratoire National des Champs Magnétiques Intenses (LNCMI),中国の High MagneticField Laboratory (HMFL) など各国の研究所が,30 T 以上の高磁場生成用途に REBCO 超電導線材を採用している.超高磁場生成に有利な REBCO コイルであるが局所劣化に対する脆弱性が問題であった.局所的な線材特性の劣化が生じた際,当該の常電導部で非常に大きな発熱を生じてしまう.REBCO 線材の高い比熱に起因して,異常の検知も容易ではない.最悪,コイルが燃えてしまう.そこで,無絶縁 (No-Insulation: NI) 巻き方式が開発された.REBCO線材を無絶縁で巻くことにより,コイルに高い熱的安定性が付与されて保護される.局所的な線材特性劣化部に対しては,電流がターン間接触面を通って隣接ターンに迂回するためである.実際,NI REBCO パンケーキ・コイルで世界最高の直流磁場 (45.5 T) が達成されている.無絶縁技術の有効性がこれにより認知されることとなった.多くの研究により NI REBCO コイルの現象理解が進み,熱的安定性特性が明らかにされてきているが,いくつかの課題・問題点がある.まず,いくつか異なる種類の無絶縁コイルが提案されてきた.個別の研究では電流迂回挙動に由来する高い熱的安定性が確認されたものの,超高磁場生成に向けて最も熱的安定なコイルがどれかは未だ不明瞭である.体系的な熱的安定性比較が求められている.また,これまでに,NI REBCO コイルの特性がターン間接触抵抗に大きく支配されることがわかってきている.ターン間接触抵抗を測定することはコイルの熱的安定性を評価することにつながる.特に高磁場では電磁力により接触抵抗が変化すると考えられている.従来手法では電流依存性を測定することができないが,原理的にこれを測定できる LFAC (Low-FrequencyAC current) 法の研究が進んでいる.これまで未知であった超高磁場磁石の接触抵抗推移を明らかにしうる手法である.いくつかのケースで有用性が示されてきたが高磁場磁石で適用することを見据えて測定精度の向上や現象理解,段階的なスケールアップなどが達成されなければならない.最後に,高磁場環境では NI REBCO 磁石に作用する軸方向圧縮力が非常に大きい.局所的なホットスポットの出現や力の平衡が崩れることによりコイルの一部が機械的に移動する場合がある.結果,外挿磁石による磁場との相互作用で NI REBCO パンケーキコイルに電流が誘導されるがその影響は未知である.超電導磁石のさらなる高磁場化を目指し,高磁場における機械的挙動の熱的安定性に与える影響が調べられなければならない.本論文はこれら課題を明らかにするものである.まず各種無絶縁コイルの熱的安定性に対してはこれまで提案されてきた無絶縁コイルを等価回路構造に基づき,2 通りに分類した.その上でそれら回路構造に由来する電磁・熱的現象を調査し,体系的に 2 種の無絶縁コイル分類の熱的安定性を調査した.現状,従来型の無絶縁 REBCO コイルが最も熱的に安定であるが,もう 1 種類の補助導体を使用した無絶縁巻き手法は将来的に有望であることを示した.二律背反であった高熱的安定性と短い励磁遅れ時間を両立できる可能性がある.2 点目の LFAC 法による接触抵抗測定手法の改良について,運転電流とコイル電圧の位相差を利用した測定精度向上手法を提案した.これを用いることでこれまで限定的だった使用可能周波数領域を大きく拡大させることに成功した.より頑健かつ高信頼性な手法として使用することが可能である.LFAC 法のスケールアップへの第一歩としてダブルパンケーキ (DP:double pancake) コイルへ適用して調査を行った.異なる接触抵抗値を有する DP コイルの接触抵抗値を同定可能であることが実験・数値的に示された.これは磁場を測定する遮断法では難しい.一方で,高周波領域及び遮断法での数値計算が実験結果と不良好な一致を示す.今後の課題である.最後に,外部磁場中に置かれた NI REBCO 磁石を簡単に移動させ,その際の電磁現象を調べることで熱的安定性への影響を調査した.いくつかのケーススタディを行った結果,外部磁石による影響は非常に少ないことが明らかとなった.一方,NI REBCO コイル間の磁束結合が非常に強く,移動速度に正相関して大きな電流がコイル外周に流れる.一般に外周の負荷率は内周より低いため熱的安定性劣化の大きな恐れは少ない.しかし,外周に特性不良部を含んだ場合はその限りではない.
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第16024号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 工学
Examination Committee Members: (主査) 教授 野口 聡, 教授 五十嵐 一, 教授 北 裕幸
Degree Affiliation: 情報科学院(情報科学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/92410
Appears in Collections:学位論文 (Theses) > 博士 (工学)
課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 情報科学院(Graduate School of Information Science and Technology)

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OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

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