Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers >
Graduate School of Humanities and Human Sciences / Faculty of Humanities and Human Sciences >
研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences >
第10号 >
日本語聞き手待遇表現の語用論的機能 : 丁寧体選択におけるストラテジーの関与
Title: | 日本語聞き手待遇表現の語用論的機能 : 丁寧体選択におけるストラテジーの関与 |
Other Titles: | Pragmatic Function of Listener-Honorifics in Japanese: Choice of Listerner-Honorifics and It's Strategy |
Authors: | 呉, 泰均1 Browse this author |
Authors(alt): | Oh, Taekyoon1 |
Issue Date: | 24-Dec-2010 |
Publisher: | 北海道大学大学院文学研究科 |
Journal Title: | 研究論集 |
Journal Title(alt): | Research Journal of Graduate Students of Letters |
Volume: | 10 |
Start Page: | 133 |
End Page: | 159 |
Abstract: | 本稿は,日本語聞き手待遇表現の選択に関与する諸要素のうち,話し手の心理的操作,言語的戦略であるストラテジーを取り上げ,その資質を明らかにした後,聞き手待遇表現の選択にいかにして関与し,どのような発話効果を引き出すのかを考察したものである。
日本語聞き手待遇表現の選択に深く関係する要素として,話し手と聞き手の人間関係や場面の改まり度といった状況的要素が挙げられる。これらの要素によって自動的に決まる一律的な言語形式の選択,すなわち,社会規範的・慣習的言語使用は,聞き手待遇表現の選択における無標性を帯びるものであると言える。もっとも,ここで注目すべき点は,「無標性からの逸脱」である。
こうした聞き手待遇表現の選択上の問題を解明するために本研究で唱えたのがストラテジーである。これは,聞き手待遇表現の選択に関与する状況的要素に伴って決まってくる待遇表現形式に従うか従わないか,という判断を下す主体(=話し手)の心理的操作であると見ることができる。そこで,本稿では,状況的要素を無視する故意の逸脱に注目し,このような話し手の心理的操作のことをストラテジーと見て論を進めてきた。つまり,本研究で言うストラテジーという概念のポイントは,「何らかの狙いがあって,意図的に調整を行い,無標状態から逸脱しようとする心理的操作・言語的戦略」のことである。これは,状況的要素に従って待遇表現の選択を行うか行わないかという,話し手の最終的手段であると考えられる。こうしたストラテジーによる無標状態からの逸脱,また,そこから引き出される有標的発話効果は,聞き手待遇表現における語用論的機能を捜し出すためのカギとなると言える。 |
Type: | bulletin (article) |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/44605 |
Appears in Collections: | 研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences > 第10号
|
Submitter: 呉 泰均(OH, Taekyoon)
|