Abstract: | 数量詞(quantifier, たとえば, a, every, some, no, threeなど)を複数含む文や,数量詞とwh句を含む文は,2つ以上の意味解釈をもつ場合がある。1970年代中頃より,そのような文の意味解釈を統語論的表示によって表わそうという研究がさかんになり,現在まで生成文法研究の大きな一分野となっている。本稿では,普遍数量詞(universal quantifier) every を含む名詞句を主語とし what を目的語とする文をとりあげ,次の点を明らかにしたい。(i)数量詞とwh句を含む文の解釈は,May(1985,1988)の主張するような,両者の相対的作用域に基づく分析では決定できない,(ii)そのような文がもつ可能な解釈の説明には,whatに複数の意味・機能を認める必要がある,具体的には,個体(individual)を尋ねるwhatのほかに,関数(function)を尋ねるwhatと種類・特性(kind/property)を尋ねるwhatが必要であることを論じる。 |