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従属節におけるノダの機能
Title: | 従属節におけるノダの機能 |
Other Titles: | The function of no da in a subordinate clause |
Authors: | 安田, 崇裕1 Browse this author |
Authors(alt): | Yasuda, Takahiro1 |
Keywords: | 従属節 | ノダ | no da |
Issue Date: | 26-Dec-2012 |
Publisher: | 北海道大学大学院文学研究科 |
Journal Title: | 研究論集 |
Journal Title(alt): | Research Journal of Graduate Students of Letters |
Volume: | 12 |
Start Page: | 189(左) |
End Page: | 207(左) |
Abstract: | ノダは本質的に「認識の内容」を提示する形式である。これを肯定的に「P
のだ」と断定すると,概略「ここでPと認識するのが適切だ」という表現と
なる。そこに聞き手がいる場合は,聞き手に対しても同様に「ここでPと認
識するのが適切だ」と伝達することになり,結果として会話参与者間の「認
識の共有」を求める発話になる。
「認識の共有」は,そのノダ節の内容がどこから得られる情報に基づいてい
るかという文脈上の条件によって,「述べた通りに話し手が認識として受け入
れる」場合と,「述べた通りの認識を持つように聞き手に要求する」場合と,
「認識を共有していることを確認する」場合に分けられる。加えて,ノダの肯
定が「既に決まっている」「反対せずに受け入れる」「話し手自身の判断とし
て表現しない」「認識に働きかけようとする」といったニュアンスを帯びるこ
とも,「認識の内容」を表現するという本質的機能から導き出せる。
こうしたノダの特徴は,ガ・カラ・ナラの従属節内で用いられた場合にも
観察できる。カラには命題レベルと認知レベルの両用法が存在するのに,ノ
ダカラとすると認知レベルの解釈しかできなくなるのは,ノダが命題を「単
なる命題」ではなく「認識の内容」として提示するためである。
ノダガ節が聞き手にとっての新情報を,ノダカラ節が聞き手の「十分認識
していないこと」を提示することが多いように思われるのは,ノダが情報の
新旧そのものを表しているのではない。どちらもノダを用いずに必要な情報
を提示できるが,敢えてノダを使うことで「認識の共有」の必要性を積極的
に表明する発話となるため,そこからの推論によってそのような解釈が生ず
ると考えられる。
判断などの根拠を非ノダのナラ節で提示すると,一般的・全称的な条件判
断の言明となる。それに対してノナラとした場合は「ここでPと認識するの
が適切なら」といった仮定によって判断を下す表現となるため,「現状を踏ま
えている」感の強い判断となる。また,疑わしい事柄はノナラで受けること
により「反対せずに受け入れる」「話し手自身の判断として表現しない」態度
を表明できる。 |
Type: | bulletin (article) |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/51967 |
Appears in Collections: | 研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences > 第12号
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