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野ねずみとササの相互作用について

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/73293

Title: 野ねずみとササの相互作用について
Other Titles: Behavior of field mouse living in dwarf bamboo community
Authors: 齊藤, 隆1 Browse this author
Authors(alt): Saitoh, Takashi1
Issue Date: 29-Nov-2002
Publisher: 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション
Journal Title: 北方森林保全技術
Journal Title(alt): Technical report for boreal forest conservation of the Hokkaido University Forests
Volume: 第20号
Start Page: 26
End Page: 28
Abstract: 北方の森林に生息する動物のなかには、個体数が年次的に大きく変動し、周期的に変動するものがある。とくに野ねずみ個体群の変動は顕著で、生態学の草創期から注目を集め、その解明は生態学の中心的な課題の一つになっている。これまでの解析によって、このような変動には密度依存性が大きく作用し、直接の密度依存性と遅れの密度依存性という二種類の密度依存性が個体数変動の基本的な構造をなしている、と考えられている(Royama 1992; Stenseth 1999)。北海道に生息するエゾヤチネズミ(Clethrionomys rufocanus)個体群はその典型で、南西の渡島半島から北東部のオホーツク海沿岸にかけて、比較的安定した個体群から大きく周期変動するものまで、変動パターンの変異が連続的に見られる(図1)。このような個体数変動の変異も2種の密度依存性によって分析可能で、北東に向かうに従って、両方の密度依存性が強まることが知られている(Saitoh et al. 1998)。また、年次変動に注目して行われてきた解析を季節成分(春から秋までの繁殖期と秋から春までの越冬期)に分けて分析すると密度依存性のほとんどは越冬期に形成されることがわかった(Saitoh et al. in review; Stenseth et al. in review)。以上の研究成果は、時系列データを用いた統計解析や数理模型に基づいているが、これらの成果を適切に評価し、変動メカニズムの解明につなげるためには、野外調査に基づく動物の生活史に関する知見が不可欠で、数理解析と生活史研究を相補的に組み合わせることがこの現象の理解には不可欠である。野ねずみ個体群の密度依存性のメカニズムについて、これまで、北欧の研究者を中心に捕食者と野ねずみ個体群の相互関係を重視する仮説が提唱されているが、野外で捕食者に関する詳細なデータを得ることは難しく、十分な検証実験はまだない。一方、野ねずみ個体群と食物の相互関係も密度依存性の機構として機能しうるものとして期待される。具体的には、冬季の主食が注目に値する。エゾヤチネズミは冬季はササ(葉、根、芽)を主食としており、ネズミの採食圧に対するササの反応の仕方によっては2通りの密度依存性メカニズムとして働きうる。つまり、冬季の大きな採食圧が、ササの翌年の出芽数に影響するなら直接の密度依存要因として、根などの栄養貯蔵器官に影響するなら、遅れの密度要因として作用すると考えられる。このように、野ねずみとササの相互作用の解明は動物個体群の変動を理解するために重要であり、長期間の野外調査が必要である。この小論では、筆者が今後、この課題に取り組むために計画している野外実験の概要を紹介する。
Type: bulletin (article)
URI: http://hdl.handle.net/2115/73293
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