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気候監視のための高層気象観測用水蒸気センサの開発

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/92715

Title: 気候監視のための高層気象観測用水蒸気センサの開発
Other Titles: Development of a balloon-born chilled-mirror hygrometer for climate monitoring
Authors: 杉立, 卓治 Browse this author
Issue Date: 24-Mar-2011
Abstract: 水蒸気は、日々の天気や気象現象に関わるだけでなく、上部対流圏や成層圏においては地球の放射エネルギー収支、雲物理、オゾン光化学等に主要な役割を果たす。近年、地球温暖化問題への関心が深まり、気候監視が重要視され、上部対流圏・成層圏の水蒸気観測が必要とされるようになってきた。しかし、その測定技術は満足な状態にあるとは言えず、気候監視の目的に合致したセンサは存在しない。そこで本研究では、気候監視に用いる事ができる高精度な高層気象観測用水蒸気センサを開発することを目的とする。現在、主に産業用として用いられている鏡面冷却方式センサFINEDEWTM((株)山武)を用いて、ラジオゾンデ用センサとして使用できるように改造し、地上から下部成層圏までの水蒸気濃度を連続観測できるセンサの開発を目指す。鏡面冷却方式は、熱力学な原理に基づいた水蒸気測定法で、高精度な測定が可能とされている。測定空気に触れた小さな鏡を、流す電流量で冷却の程度をコントロールできるペルチェ素子を用いて冷却する。冷却された鏡のうえにうっすらと露や霜を付く状態(平衡状態)を保つことで大気の露点あるいは霜点温度を計測する。露点温度が計測できればClausius-Clapeyronの関係式により水蒸気分圧が算出でき、さらに気圧、温度データと合わせることで、体積混合比、相対湿度が算出される。平衡状態を実現するため、PID制御という自動制御を用いてペルチェ素子に流す電流量を決定する。高層気象観測においては、比較的短時間に高度とともに環境場(気圧、気温、水蒸気濃度等)が大きく変化することから、ペルチェ素子に流す電流量を決定するPID制御パラメータを高度(環境場)に応じて変化させる必要があると考えられる。各高度に適したPID制御パラメータの設定を見つけるため、高層大気の気圧や気温を再現できる気圧温度槽や低温室などを使用し、様々な環境中で鏡面冷却の制御実験を行い、環境場によってセンサの動作特性がどれだけ影響を受けるかを調べた。また、露点温度計測中の鏡面上近傍で生じている現象について物質移動の観点から理論的考察を行い、鏡面冷却の制御は高度によってどう変化させるべきか理論的な検討も行った。それらの結果をもとに、飛揚時のPID制御パラメータの設定を行った。次に、高層気象観測用測器として用いるため飛揚時の装置構成の検討を行った。ラジオゾンデ用センサとして用いるためには、極低温・低圧の環境でも安定して動作するハードウェア設計を行う必要がある。特に、鏡面冷却方式センサでは鏡に付いた露や霜の状態を光の散乱を用いて検出するため、太陽光の露点温度計測への影響を防ぐ必要がある。また、鏡面付近の空気の流れを鏡面冷却の制御に適した弱く変動のない流れにする必要がある。これらを考慮し、装置に測定空気導入用の筒を設置する。まず、疑似太陽光装置を用いて、太陽光の露点温度計測への影響の程度を確かめた。次に、筒内の空気の流れについて、筒の形状や気圧による依存性の理論考察を行い、さらに気圧槽を用いて気圧を変化させた環境で筒内の風速を計測することで、それらの依存性を実験により確かめた。以上の事を考慮し、ゾンデ版FINEDEWTMを製作した。2011年1月28日、茨城県守谷市でゾンデ版FINEDEWTMの飛揚試験を行い、高度10kmまでの露(霜)点温度を計測することができた。また、相対湿度計RS-06Gとの比較により、その性能や課題が明らかとなった。
Conffering University: 北海道大学
Degree Level: 修士
Degree Discipline: 環境科学
Type: theses (master)
URI: http://hdl.handle.net/2115/92715
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Submitter: 杉立 卓治

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