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『検察官』と古典主義演劇の関係
Title: | 『検察官』と古典主義演劇の関係 |
Other Titles: | Relation between the Government Inspector and Dramas of the Classical Scool |
Authors: | 植木, 健二1 Browse this author |
Authors(alt): | Ueki, Kenji1 |
Issue Date: | 15-Dec-2016 |
Publisher: | 北海道大学文学研究科 |
Journal Title: | 研究論集 |
Journal Title(alt): | Research Journal of Graduate Students of Letters |
Volume: | 16 |
Start Page: | 53(左) |
End Page: | 72(左) |
Abstract: | 本論文は,ゴーゴリ(1809-52)の一連の戯曲作品の中から『検察官』(1836年初演)を取り上げ,その演劇的特質に触れることを目的とした。『検察官』はこれまで様々な立場から論じられてきた。その中には古典主義演劇の規範に基づく戯曲と見なす立場も根強くある。そこで本論文では,この戯曲と古典主義演劇との関係に焦点を当てて考察し,どういった点が古典主義演劇の規範の枠内に収まり,また逸脱しているのかを考察し,そのうえで,こうした考察を通じて,この戯曲の持つ特徴を浮き彫りにすることを試みた。第1章では,『検察官』と古典主義演劇の関係を考察する際の前提となる古典主義演劇の作劇法の歴史や性格を,古典主義演劇の規範が確立した17世紀フランスの演劇界に焦点を当てて概観した。第2章では,フランスで確立した古典主義演劇の作劇法が,フランス文化の影響下にあった18世紀中葉のロシアの演劇界に大きな影響を与えた経緯に触れつつ,その後のロシアにおいて古典主義演劇がどのような変遷をたどったのかを,個々の劇作家や彼らの戯曲の若干の事例を取り上げつつ概観した。第3章では,『検察官』と古典主義演劇の関係を考察するに当たって,『検察官』の作劇法と古典主義演劇における個々の規範を照らし合わせながら,受容点と変容点を区別することを検討するとともに,変容している点について,すなわち,古典主義演劇の枠組みでは捉えきれない『検察官』の新しさについての考察を試みた。最後に,まとめとして『検察官』と古典主義演劇との関係を整理するとともに,今後の課題として,本論文を執筆する過程で浮き彫りとなった問題点を,いかなる視点から,いかにして解きほぐしていくべきかを示した。 |
Type: | bulletin (article) |
URI: | http://hdl.handle.net/2115/63909 |
Appears in Collections: | 研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences > 第16号
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